婚約破棄で慰謝料請求。モラハラ・精神疾患などは正当な理由になる?

婚約破棄とは、法律上正当な理由もないのに、婚約という約束に従って婚約者と結婚するよう努力する義務(約束)を履行しないことを言います。

もっとも、婚約破棄を行うためには、そもそも婚約していなければなりません。

ここで難しいのは、婚約の事実を書面などに残さないケースが多く、婚約したことを証明すること自体のハードルが高いということです。そのような理由から、婚約破棄した側とされた側の言い分にかなりの差が出ることが非常に多くあります。

日本の文化では契約書を交わすことがほとんどないので、この点が婚約を証明する難しさだと言えます。

以下では,婚約破棄された場合に慰謝料が認められる理由や、慰謝料請求が認められる場合と認められない場合、金額の相場、そして慰謝料請求の際の注意点について説明していきます。

婚約破棄とは

婚約すると、婚約した二人は将来婚姻を成立しようと努める義務が発生しますが、人間の気持ちはいつどういう風に変化するか分かりません。

婚約を解消するとなった場合、そもそも婚約を成立する特別な儀式がないわけなので、婚約を解消する際にもそれは必要とされません。

婚約を解消したいという気持ちがはっきりと相手に伝われば、婚約破棄は成立します。

婚姻には両性の合意が必要であるため、相手に結婚を強制することはできません。ただ、婚約している以上正当な事由もなく一方的に解消、破棄することは債務不履行(約束・義務を守らないこと)に当たります。

 

原則的として、破棄された側は相手に対し、慰謝料などを請求することが可能です。

この損害賠償義務は契約を履行しなかったことに対するもので、裁判例などから債務不履行責任と考えられています。

 

婚約破棄が認められる正当な事由

 

相手からの暴力や侮辱、虐待などを受けた

肉体的暴力は当然ですが、肉体関係を強要されたり、暴言を吐かれた、モラハラを受けた・・なども婚約破棄の正当な事由として認められます。

 

不貞行為があった

この事由が婚約破棄にいたる事由で最も多いと言われています。
婚約者以外の異性と性的関係を結んだ場合で、当然と言えば当然な事由と言えるでしょう。

 

統合失調症やうつ病などの精神疾患にかかった

婚約が成立後、相手が精神疾患にかかった場合も婚約破棄の正当な事由として認められます。

 

性的な能力がなかった

相手に性的な能力がない場合も婚約破棄の正当な事由として認められるようです。

 

経済力悪化した

婚姻生活は多少の差があっても、経済的につながる生活なので、相手の会社が倒産したり、職を失った場合など、経済状態が悪化した場合は正当な事由として認められます。

 

婚約破棄が認められない事由

では婚約破棄が認められない事由としてどういったものがあるかと言うと、

・相手の容姿に不満がある
・親の反対にあった
・性格の不一致
・相手の信仰が気に入らない
・単純に相手のことが好きでなくなった
・相性が悪い
・単に結婚する意欲がなくなった

などがあり、こういった事由で婚約破棄した場合は、破棄された側が破棄した側に対し慰謝料請求することができる可能性があります

ただ、慰謝料請求が可能かどうかそれぞれのケースで違ってくるので、弁護士など法律の専門家に相談した方がいいでしょう。

 

婚約破棄の慰謝料

正当な事由なく一方的に婚約を破棄、解消された側は、相手に損害賠償を請求できます。

それに加えて、婚姻が成立することを前提として支出した財産損害、精神的損害、逸失利益に対しても、損害賠償を請求することが可能です。

 

財産損害

これは結婚式場の予約金、キャンセル料、仲人へのお礼、新婚旅行の予約金、キャンセル料、披露宴招待状の作成、発送費用、新居用のマンションの敷金や頭金・・などのことを言います。

 

精神的損害

婚約解消の時期や婚約期間、妊娠しているかどうか、婚約解消にいたった事情、婚約解消によるダメージの大きさ・・などを考慮し総合的に決められます。

 

逸失利益

婚約したことで転職、転任、退職した場合、それによって得られたはずの給料を損害賠償によって請求できます。

 

婚約破棄の慰謝料の算定方法とその相場

上に挙げたような婚約破棄の慰謝料とは、婚約破棄をした側や婚約破棄の原因を作った側から相手に支払われるものです。

そして、その金額は、婚約破棄に至った経緯や婚約期間などによって変わってきます

この慰謝料は、請求するだけなら誰でもできますが、もし相手が払わないとなった場合には、裁判を起こすしかありません。

となると、慰謝料請求が認められるかどうかは裁判所の判断を仰ぐことになります。

ただ、婚約破棄が認められるだけの証拠を集めるのは容易なことではありません。
他に、相手に慰謝料を支払えるだけの資力がないと、証拠がいくらきっちり揃っていても高額な慰謝料は認められないことが多いです。

当然ですが、婚約期間が長ければ長いほど、また、婚約破棄の時期が婚姻時期に近ければ近いほど、婚約破棄によって受ける精神的なダメージは大きくなるのは間違いないため、婚約破棄の慰謝料は高額になります。

 

慰謝料の額についてはお互いの話し合いか裁判で,それぞれのケースごとに婚約破棄に至った状況や経緯に応じて決められます。

具体的な金額については、まれなケースを除いて、離婚の際に支払う慰謝料よりも金額が低くなることが多いです。

一般的に、婚約破棄の慰謝料の相場は50~200万円程度のことがほとんどのようです。

その理由の一つには、婚約破棄にいたるカップルは若いことが、収入も多くはないことが挙げられるでしょう。特に若いカップルが婚約を解消した場合、慰謝料の額は100万円以下に収まることが多いです。

婚約破棄の慰謝料請求は弁護士にご相談を!

そもそも婚約が成立しているかどうか証明するのは難しいですし、相手に婚約破棄の正当な事由があったかどうか証明するための証拠を集めるのも難しいです。

 

そのため、婚約破棄の慰謝料請求はそれを裏付ける証拠を提示しない限り、裁判で認められる確率は非常に低いでしょう。

また、裁判になれば時間や手間がかかってしまうということも理解しておくべきです。

裁判では、いくら口頭でうまく説明できたところで、それを裏付ける証拠が揃っていないと、慰謝料請求が認められることはありません。

証拠として認められるものとしては暴力行為が分かる診断書、写真、音声データ、浮気がはっきりと分かる写真や動画・・などが挙げられます。

ただ、単純に証拠を揃えて請求するのではなく、やはり法律のプロである弁護士に依頼するのがベターです。

当事者同士の話し合いの時には慰謝料請求に応じなかった相手でも、自分に婚約破棄に至った原因があると思っている人の場合は、弁護士からの請求があった時点で慰謝料を支払ってくれるケースが多いです。

弁護士が代理人になると、その高い交渉力や実務経験で培ったノウハウを駆使することで、裁判を提起することなく、裁判外での話し合い(示談)によって、問題を解決できる可能性が高まります。

とにかく、信頼できる弁護士に相談していただき、慰謝料請求を行うところから始めてみることをおすすめします。

 

当事務所ではこれまで婚約破棄のさまざまなケースを扱ってきた経験があります。
ぜひ、一度相談していただければと思います。

 

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監修者:弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡
[経歴]
東京大学卒業
第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録

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