モラハラを理由に慰謝料請求はできる?慰謝料請求の事例をもとに解説

みなさんは「モラハラ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

昨今では、このモラハラに悩む方が増加傾向にあり、コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増えたことも相まって、ストレスを家庭内で発散するトラブルが多発しています。

しかし、モラハラというのは、受けている側がその事実に気付いていないケースが多いばかりか、離婚をするにしても慰謝料請求にまで持っていくのが困難となるケースも多く存在しています。そこで今回は、モラハラを理由に慰謝料請求はできるのか?について、モラハラの基礎知識と実際の慰謝料請求の事例をもとに弁護士が詳しく解説していきます。

モラハラに関する基礎知識

まず、モラハラとは具体的にどういったことを指すのでしょうか?

モラハラの定義

モラハラとは「モラル・ハラスメント」の略称で、家庭内における嫌がらせなどによって相手を精神的に追い詰める行為を指しています。

一昔前には、DV(ドメスティック・バイオレンス)といって、家庭内における身体的な暴力が話題になりました。このDVは、暴力による外傷が伴うことから、周りが自然に気付き、解決へと至るケースも少なくはありませんでした。しかし、モラハラには身体的な暴力が伴わないため客観視するのが難しく、なかなか顕在化しない特徴があります。それゆえ、他者から理解され難く、一人で抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。

モラハラに該当する言動・行動の特徴

モラハラに該当する言動・行動は主に以下のものがあります。

・人格そのものを否定する言葉で罵る

・話しかけても無視をする

・反論の隙を一切与えない

・大きな声や音を立てて逆上する

・他人との交流を縛る

・経済的な余裕を与えない

さらに詳しくは、弊所作成の「モラハラ被害チェックリスト」をご確認ください。

モラハラ離婚を行う際の注意点

モラハラを理由に離婚を検討する場合、以下の点に注意しておく必要があります。

モラハラという認識を持ちづらい

モラハラというのは、そもそも当事者自身ですら被害の認識を持ちづらい傾向があります。心が弱っているため、目の前で起きている状況がモラハラであるかどうかの正常な判断ができないのです。それゆえに、離婚事由になるほどのモラハラが起きているのかについても、当事者目線では判断が困難となっています。現在の状況を自分自身で認識するためにも、まずは弁護士といった離婚問題に精通した第三者に意見を求めることが非常に大切です。

有効な証拠の確保がしづらい

モラハラは有効な証拠を確保するのが難しいのも注意点の1つです。

DVは身体的な暴力であるため、目に見える証拠が残ることになります。しかし、モラハラの場合は、言葉や態度といった家庭内でしか見ることのできない行為であるため、他者に理解を求めるのが難しくなっています。また、モラハラは1度だけでなく継続的に繰り返されることによって精神的ダメージを与える行為でもあるため、コツコツ証拠を集める根気強さも求められます。しかし、証拠集めを相手に知られればさらにモラハラがエスカレートする恐れもあり、有効な証拠を確保するのが難しいという現実もあります。

有効な証拠を集めたい場合は弁護士の指示に従い、無理のない範囲で行うことが大切です。

慰謝料請求はできる?

結論を言えば、モラハラを理由に慰謝料請求することは可能です。しかし、モラハラを理由にする以上、主観的な言い分だけでなく客観的な証拠が必要になってきます。そこで、具体的には以下の手順で証拠を集め、慰謝料請求をしていく流れになります。

モラハラを理由に慰謝料請求するための手順

(1)日記をつける

モラハラの有効な証拠の1つに日記があります。形に残りにくいモラハラ行為を日記につけることで形に残すことができます。

(2)モラハラの現場を録音・録画する

モラハラの現場をスマートフォンなどで録音・録画できれば有力な証拠となってくれます。しかし、相手に気付かれやすいことからも慎重に行わなければなりません。

(3)病院の診断書を発行してもらう

モラハラは、心身に多大な影響を及ぼすことになります。少しでも不調を感じるのであれば、精神科や心療内科を受診しましょう。受診した際の通院記録や領収書、可能であれば医師に診断書を発行してもらうことで有効な証拠となってくれます。

(4)第三者や弁護士に相談する

上記のような客観的な証拠を集めるのが難しい場合は、警察やモラハラの相談機関、第三者に相談するのも有効な手段です。友人・知人に相談する場合は、調停の場などで証言をしてもらえるよう頼んでみるのも良い方法です。また、弁護士に相談し、現在の状況に適したアドバイスを求めることも大切です。慰謝料請求のためにはインターネットで得られる知識だけでは不十分で、ケースバイケースの対応が必要となります。離婚問題のプロである弁護士からのアドバイスは欠かすことができません。

(5)別居をして慰謝料請求をする(離婚をする)

相手に対してモラハラを理由に慰謝料請求をするのであれば、ほとんどのケースで別居と離婚請求がセットです。しかし、相手が素直に慰謝料の支払いや離婚に応じない場合、調停や裁判を視野に入れる必要があります。こうした法的手続きを個人で行うのはどうしても困難が伴うことからも、弁護士への相談は早期に行うことを強くおすすめします。

モラハラ離婚による慰謝料相場

モラハラそのものによる慰謝料の相場は、50~200万円程度とされています。また、離婚が伴う場合はトータルで300万円程度が相場となっています。しかし、こちらはあくまでも相場であり、実際はモラハラの度合い、相手の収入や資産状況などによっても左右されます。実際にどの程度の慰謝料が見込まれるかは弁護士に尋ねてみるのが良いでしょう。

裁判例からみるモラハラ離婚の慰謝料金額

過去の裁判例では、モラハラを理由にどの程度の慰謝料を認めているのでしょうか。

事例①東京地裁平成17年2月22日

夫に対しての妻の自分本位な態度を理由に慰謝料80万円の支払いを命じた判例

具体的な事案内容のメモ

・妻が過剰な遊興費を使っていた

・夫からの注意を真に受けることはなかった

・子どもを連れて一方的な別居をした

・夫と話し合いの機会を設けることをしなかった

事例②東京地裁平成17年3月8日

夫からの心ない罵倒による妻の精神的苦痛に対し慰謝料250万円の支払いを命じた判例

具体的な事案内容のメモ

・妻の持病に対して「頭がおかしい」と非難し、通院を妨害した

・少額の生活費しか渡していないにも関わらず、妻の支出についても細かく干渉した

・長男に対する暴行や、心ない発言を繰り返した

・婚姻期間は10年以上、その長い間、妻は精神的苦痛に苦しめられた

モラハラについて離婚・慰謝料に強い弁護士に相談する

モラハラ問題を相談するというのは簡単なことではありません。そもそも自分自身がモラハラ被害の認識を持っていなかったり、相手から洗脳されているケースも中には存在します。心が弱っていると正常な判断をすることができなくなってしまうのです。

また、モラハラを証明するための証拠集めは重要ではありますが、何よりも大切なのは身を守ることです。自分だけの判断で無理な証拠集めをするのではなく、まずは離婚問題に強い西村綜合法律事務所に無料相談いただくことをお勧めいたします。

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    監修者:弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡
    [経歴]
    東京大学卒業
    第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録

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