モラハラ夫(妻)が離婚に応じてくれない時の対処方法

 

「モラハラ夫(妻)が離婚に応じてくれなくて困っている…」

こういったご相談、決してめずらしいものではありません。世の中にはモラハラ夫(妻)に悩まされている方がたくさんいらっしゃるのです。そもそも、モラハラはされていることにすら気付けていない方もいらっしゃいます。すでに相手をモラハラ夫(妻)と認識できているだけで、ご自身の未来を変えるための第一歩を踏み出していると言えます。

そこで次のステップとして、今回はモラハラ夫(妻)が離婚に応じてくれない時の対処方法について詳しく解説していこうと思います。

モラハラに関する基礎知識

まずは、モラハラとはどういったものなのでしょう?

基礎的な知識を身につけ、ご自身の状況が当てはまっているかどうか確認してみましょう。

モラハラの定義

モラハラとは、「モラル・ハラスメント」の略称で、外傷が残るなど周囲からもわかるような肉体的暴力ではなく、言葉や態度等によって行われる精神的暴力を指します。顕在化しにくいため周囲が気付けず、徐々にエスカレートしていく傾向があります。

通常、夫婦喧嘩をした際は、相手に強く当たってしまうこともあるものです。しかし、ほとぼりが冷めた後は、自身の行動を振り返り、反省することでお互いの理解を深め合うのが夫婦というものです。一方で、モラハラ夫(妻)の場合は、モラハラについて反省をすることはありません。常に自分が正しく、相手より優位な立場にいると考えているため、気に入らないことがあれば些細なことでも激怒し、言葉や態度で相手を貶す行動を取ります。相手にこうした行動が見受けられる場合、モラハラ被害に遭っていると考えられます。

モラハラを受けることによる精神的な影響

モラハラを受けることで、体調や精神に異常をきたすことがあります。たとえば、急に涙が止まらなくなってしまったり、相手からのLINEを見ただけで眩暈をしてしまったりと、日常生活を平穏な感情で送ることができなくなります。しかし、相手に絶対的優位に立たれているため、「自分が悪い」、「自分のせいだ」と感じてしまいがちです。こうした精神的な悪影響に少しでも心当たりがある方は、モラハラ被害に遭っている可能性が強いです。

モラハラ夫(妻)が離婚に応じない要因

では、なぜモラハラ夫(妻)は離婚に応じないケースが多いのでしょうか?

その要因としては、主に以下の3つが考えられます。

①自分自身の正当化
②プライドが高い
③自身の精神的な不安

以下にて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

①自分自身の正当化

モラハラ(夫)妻は、自分自身を強く正当化します。

そのため、自身がモラハラ夫(妻)であるという自覚がありません。自分は常に正しいと思っているため、離婚を切り出してきた相手の気持ちを理解することができないのです。

②プライドが高い

モラハラ(夫)妻は、プライドが高いことが多いです。

周りの目や世間体を気にしているため、離婚をするという選択肢がありません。また、日頃から下に見ている相手から離婚を切り出されることに納得ができません。プライドが高いため、少しででも自分を否定されることが許せないのです。

③自身の精神的な不安

モラハラ夫(妻)は、自身に精神的な不安を抱えているケースも多いです。

自身が抱える劣等感やコンプレックスを誤魔化すために、相手より上に立つ自分、そんな自分は特別である、といった暗示をかけています。また、本当は自身が捨てられることを恐れていて、相手がそうした発想にならないようモラハラで思考を縛っていることもあります。

モラハラ夫(妻)が離婚に応じてくれない時の対処法

モラハラ夫(妻)が離婚に応じてくれない時は、以下3つの対処法を推奨します。

①モラハラを立証するための証拠をつくる
②実家等で一時的な身の安全を確保する
③第三者(弁護士等)を交えた話し合いの場を設ける

モラハラを立証するための証拠をつくる

モラハラは法定離婚事由になり得ることから、まずはモラハラを立証するだけの証拠をつくることで、より離婚が実現し易くなります。離婚というのは、夫婦の話し合いだけで解決しない場合、調停や裁判といった手続きを経るしかありません。その際に、モラハラの証拠があれば、有利に手続きを進めていくことができます。

モラハラの証拠は、主に以下の方法でつくるのが良いでしょう。

・モラハラ被害に遭っている場面の録音・録画データ

・日々のモラハラ被害をまとめた日記帳・メモ帳

・モラハラ夫(妻)とのメールやLINEのやり取り

ただし、証拠をつくっていることをモラハラ夫(妻)に知られると、破棄されてしまうばかりか、モラハラを増長する恐れも強いため、慎重に行動するよう心がけてください。

実家等で一時的な身の安全を確保する

モラハラ夫(妻)に離婚の提案をすると、モラハラがエスカレートする恐れがあります。

これまでは精神的な暴力だけだったとしても、肉体的な暴力へ発展する危険があるため、少しでも身の危険を感じたら、実家等で一時的な身の安全の確保を最優先してください。

また、実際に暴力に遭った場合は、警察に相談するのも良い方法です。実家等への避難が難しい場合も、警察からDVシェルターを紹介してもらうことができます。DVシェルターとは、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者の一時的な保護施設で、基本的に無料で2週間程度の利用が可能なため、一時的な身の安全を確保する際に有効です。モラハラもいわばDVの一種ですので、仮に肉体的被害がなくてもシェルターの利用は可能です。

第三者(専門家等)を交えた話し合いの場を設ける

モラハラ夫(妻)が離婚に応じてくれない場合は、第三者を交えた話し合いの場を設けることが大切です。第三者については、事情を理解してくれている友人や知人、家族に同席してもらうのが良いでしょう。とはいえ、夫婦間の揉め事に他者を巻き込むのは気が引けるといた方は、弁護士といった離婚問題の精通した第三者に同席してもらうのも良い方法です。

弁護士が同席することで、モラハラ夫(妻)の一方的な主張だけが通る心配がなくなります。対等な立場で話し合いができるようになるため、ご自身の言いたいことを伝えましょう。

モラハラによる離婚をお考えの方は弁護士にご相談ください

モラハラによる離婚というのは、当事者同士ではまともな話し合いにならないケースがほとんどです。モラハラ夫(妻)は、自分の考えが常に正しいと思っていますので、こちらの言い分に聞く耳を持ってくれません。それどころか、モラハラがエスカレートする恐れもあるため、少しでも身の危険を感じた際は、避難するなど必要な対策を取ってください。

こうした状況下で離婚を成立させるには、弁護士の介入が非常に効果的です。弁護士に相談することで、今後どのように対処すべきか的確なアドバイスを受けることができます。また、弁護士であれば本人の代わりに話し合いの場に立てるため、相手と直接話すのが辛いといった方は、ぜひ弁護士への依頼を検討しましょう。

当事務所でもモラハラに悩まされている方のご相談を受け付けております。モラハラ夫(妻)と離婚したいとお考えの方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。



監修者:弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡
[経歴]
東京大学卒業
第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録

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