離婚するために必要なお金

離婚を決意した場合,真っ先に考えるべきなのは,「お金」のことです。

離婚するには,意外とお金がかかります。お金がないために,離婚すらままならないということも珍しくありません。

そこで,今回は,離婚するために必要なお金の目安について,説明したいと思います。
b弁護士費用

離婚するにあたり,弁護士を雇うかどうかは,しっかりと考えるべきことの一つです。

夫婦間で離婚の話し合いがまとまっており,特に争うポイントがないケースでは,協議離婚をすることができますから,その場合には弁護士の力を借りる必要は高くないでしょう。

しかし,相手が離婚することに同意しない場合や,子どもの親権や養育費,財産分与等,金銭面でもめている場合,さらには,訴訟手続に移行する可能性が高いケースの場合には,弁護士に依頼したほうが,確実かつより有利な条件で離婚できる可能性が高まるでしょう。

弁護士に問題の解決を依頼すると,弁護士報酬として,50万円から100万円ほどの費用がかかることになります。

結構な額のまとまった費用が必要となることに驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし,財産分与や慰謝料,又は親権の獲得などでどうしても自己に有利な条件を引き出したいのであれば,決して高い出費にはなりません。

弁護士報酬は,着手金と成功報酬に分割して支払うのが通例となっていますから,最初に支払うのは約半分ほどの20万円から50万円程度になると考えておくとよいでしょう。

事務所によっては,成功報酬を安めに設定して着手金を安くするなどの融通を利かせてくれるところもあります。

DV被害から着の身着のまま逃げ出してきたために手持ちのお金がない方でも,そもそも弁護士に依頼することを諦める前に,親身になって話を聞いてくれる弁護士に一度事情を話されてみるとよいと思います。

住居費用と引越費用

離婚する場合,同居を解消する夫婦はとても多いです。

離婚交渉が終わるまでは別居するために一時的に避難する場所を探し,離婚してから新居を探すというパターンが多くなっています。

一時的な避難場所には,ウィークリーマンションやマンスリーマンションが選ばれることが一般的です。その他にはホテルやネットカフェなどの選択肢も考えられますが,一般的には前者と比べると,割高になる傾向にあります。

離婚後に実家に戻らない場合には,新居を借りるための費用がかかります。

家賃の前払い金や敷金・礼金を含めると,新居の家賃の6か月分程度の費用を用意しておく必要があります。

例えば,1か月5万円の家賃の部屋を借りるのであれば,30万円ほど必要になります

住居費を抑えるなら,会社の寮や,敷金・礼金ゼロの物件などを探す方法も検討しましょう。

それに加え,新居での新生活に必要な最低限の家具や電化製品の購入費用や,引っ越し費用もかかります。最低でも10万円程度はこれらの費用にかかると見積もっておくとよいでしょう。

 

当面の生活費

共働きの夫婦で離婚後も引き続き同じ仕事を続ける場合には心配ありませんが,専業主婦で働いていない場合やパートで働かれている場合,あるいは離婚をきっかけに仕事を辞めるような場合には,次の仕事が見つかるまでの当面の生活費も用意しておかなければなりません。

別居後離婚するまでの間は,婚姻費用分担請求をすることで,配偶者から生活費を振り込んでもらうことができますが,必ずしも相手からスムーズに生活費がもらえるとは限りません。

新しい生活のサイクルができるまで食つなぐための費用として,50万円程度は準備しておきたいところです。

子供にかかる費用

子どもを引き取って離婚する場合には,子どもにかかる費用も別計算で用意しておくべきです。

かかる費用は子どもの年齢によって異なりますが,幼い子どもがいる場合にはおむつ代やミルク代がかかりますし,幼稚園や小中学校に通う子どもには学用品代に加え,修学旅行などイベント毎に出費しなければなりません。また,離婚で子どもはとても大きなダメージを受けますから,場合によっては通院代やカウンセリング代などもかかる可能性があります。

10万円から20万円を子どものために充てられるように用意しておきましょう。

 

まとめ

離婚するにも,先立つものが必要です。

離婚の意思が固まると,一刻も早く配偶者と離れたいと思うものですが,いったん冷静になって,お金の問題を解決することが先決です。最低でも100万円程度は準備できてから,離婚に向けて具体的に動き出すようにしましょう。



監修者:弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡
[経歴]
東京大学卒業
第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録

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