離婚前に決めておくべきこと6つ|離婚届提出前に必ず確認すべきポイント【弁護士監修】

夫婦間ですでに離婚について合意している場合、市区町村役場に離婚届を提出すれば戸籍簿上も離婚が反映されます。しかし、離婚条件が決まっていないため、離婚届の提出ができていないという方は多いのではないでしょうか?
中には、とにかく先に離婚を成立させたいという方もいますが、配偶者と離婚後トラブルを引き起こさないためにも、離婚届提出前に離婚条件についてしっかりと話し合いをしておくべきです。
そこで今回は、離婚時に決めておく必要がある7つのポイントについて解説していきます。
目次
離婚時に決めておく必要がある6つのポイント
離婚時に決めておく必要がある7つのポイントは以下のとおりです。
①財産分与
②慰謝料
③親権
④養育費
⑤面会交流
⑥年金分割
それぞれ詳しく見ていきましょう。
財産分与
夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産は、二人の共有財産となっています。しかし、夫婦が離婚するとなれば共有財産というわけにもいかないため、財産分与を行うことになります。
財産分与の割合は原則2分の1ずつとされていますが、収入の少ない側に対して離婚後の扶助的な意味合いでの増加や、有責配偶者に対して慰謝料的な意味合いで減少するなど、変更されることもあります。
また、よく収入の多い側が多く受け取れるといった勘違いをされている方がいますが、収入の有無で財産への貢献度が決まるわけではありません。たとえば、専業主婦(主夫)であるというだけで、貢献度が少ないと判断されるわけではないのです。
なお、財産分与には離婚から2年間という時効期間があるため、離婚後に取り決めをするのではなく、離婚前に取り決めをするのが理想と言えるでしょう。
慰謝料
慰謝料というのは、離婚時に必ず発生するものではありません。
しかし、離婚原因がどちらかの不貞行為であったり、身体的・精神的暴力といった不法行為であったりした場合、被害を受けた側は相手に対して、慰謝料という名目で損害賠償請求をすることができます。
請求できる金額に特段ルールはありませんが、一般的には相場と言われるものがあり、その範囲内で慰謝料が支払われるケースが多くなっています。
なお、慰謝料の請求についても、自身に損害があることを知った日から3年間という時効期間があります。離婚前にしっかりと決めておくべきポイントの1つです。
親権
夫婦間に未成年の子どもがいる場合、離婚時には必ず親権者を指定しなければなりません。
親権者の指定をしていない場合は、離婚届を受け付けてもらえないため注意が必要です。
仮に一度でも離婚届が受理されてしまうと、親権者の変更は容易ではなくなります。よって、とりあえずどちらかを親権者として指定しようといったことはせず、子どもの現在の生活、養育環境、将来についてなどを考慮し、どちらが親権者としてふさわしいかを決めましょう。
なお、親権者と監護権者を別にすることも可能です。監護権者とは、実際に子どもと生活を営む親のことです。一方で、非監護権者とは、子どもとは離れて暮らす側の親のことです。とはいえ、一般的には親権者=監護権者であることと、なにかトラブルがあった際に不都合を引き起こすリスクもあることから、あまりお勧めできるものではありません。
意外と見落としがちな細かい離婚条件
退去費用・引越費用の負担
離婚に伴う別居では、「誰が出ていくのか」だけでなく、「その費用を誰が負担するのか」が問題になります。しかし、この点を事前に決めていないまま別居に踏み切り、後から揉めるケースは少なくありません。
例えば、夫名義の賃貸に妻子が住んでいた場合、妻が子どもを連れて出ていくケースでは、引越費用・新居の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)が一度に発生します。このとき、妻側がすべて負担する前提で動いてしまうと、実質的に不利な状況を受け入れていることになります。
一方で、夫側が有責(不貞やDVなど)で別居に至った場合には、引越費用を負担させる交渉が可能なケースもあります。
「どちらが出ていくか」ではなく、「その原因と責任に応じてどう分担するか」という視点で整理する必要があります。
住宅ローン・賃貸契約の扱い
持ち家か賃貸かで対応は大きく異なりますが、いずれも見落とされやすい論点です。
持ち家の場合、典型的には以下の問題が発生します。
- 名義は夫だが、妻が住み続ける
- 住宅ローンの支払義務者と居住者が一致しない
- 売却するのか、そのまま保有するのか決まっていない
特に危険なのは、「とりあえず妻子が住み続ける」と決めただけで、ローン負担や名義変更を曖昧にしてしまうケースです。この場合、支払いが滞れば競売リスクが発生し、双方に不利益が及びます。
賃貸でも同様に、契約名義人が誰かによって退去義務や違約金の負担が変わります。
単に「住む・出る」ではなく、契約上の責任関係まで整理しないと後からトラブルになります。
連帯保証人・借金の処理
離婚時に見落とされがちですが、極めて重要なのが「保証人」と「借金」です。
例えば、夫の借入について妻が連帯保証人になっている場合、離婚しても保証人としての責任は消えません。夫が返済できなくなれば、妻に請求が来ます。これは離婚とは無関係に続く法的責任です。
また、夫婦のどちらかが作った借金でも、「生活費のための借入」であれば共有債務と判断される可能性もあります。
逆に、ギャンブルなど個人的な支出であれば負担を拒める余地があります。
「借金があるかどうか」だけでなく、
- 誰の名義か
- 何のための借入か
- 保証人がいるか
を具体的に確認する必要があります。
保険・名義変更・解約
生命保険や学資保険も見落とされやすい論点です。
例えば、夫が契約者・被保険者で、妻が受取人になっている保険の場合、離婚後もそのままにしていると、意図しない形で保険金が支払われる可能性があります。逆に、受取人変更を忘れることで、本来受け取れるはずの人が受け取れないケースもあります。
また、解約返戻金がある保険は財産分与の対象になりますが、これを把握せずに離婚してしまうと、本来受け取れたはずの財産を失うことになります。
通帳や不動産ほど意識されませんが、金額的には無視できないため、必ず確認が必要です。
連絡手段や今後の関係性
法律論というより実務上の問題ですが、非常に重要です。
離婚後も、子どもがいる場合は完全に関係が切れるわけではありません。
養育費のやり取り、面会交流の調整、緊急時の連絡など、一定の接点は残ります。
ここを曖昧にしたまま離婚すると、
- 連絡が取れない
- 一方的な連絡がストレスになる
- 面会交流の調整ができない
といった問題が頻発します。
具体的には、
- 連絡手段(LINE・メールなど)
- 連絡頻度
- 緊急時の対応
などを決めておくと有益です。
離婚条件はどの順番で決めるべきか
親権→養育費→面会交流の順で決める理由
離婚条件は並列ではなく、依存関係があります。この順序を無視すると、議論が噛み合わなくなります。
まず親権が決まらないと、「どちらが子どもを養育するのか」が確定しません。
これが決まらない状態で養育費の話をしても、支払う側・受け取る側が曖昧なため、具体的な金額設定ができません。
さらに、面会交流は「親権者と非親権者の関係」が前提となるため、親権が決まらない限り具体化できません。
実務上は、
①誰が育てるか(親権)
②どれくらい負担するか(養育費)
③どのように会うか(面会交流)
という順で固めていく必要があります。
財産分与は最後に調整するのが合理的
財産分与は重要ですが、最初に議論すると交渉が硬直しやすい分野です。
理由は単純で、金銭の話は感情的対立を強めやすいからです。
例えば、親権や面会交流である程度合意ができている段階であれば、財産分与の調整も現実的に進めやすくなります。
逆に、最初から財産分与の割合で争うと、
- 他の条件も含めて対立が激化する
- 交渉が長期化する
という傾向があります。
実務的には、「生活設計に関わる部分」を先に固め、その後に金銭調整として財産分与を詰めるほうが合理的です。
同時並行で進めると失敗する理由
離婚条件を一度にすべて決めようとすると、議論が拡散し、結果として何も決まらない状態になりがちです。
典型的な例として、
「養育費の金額が納得できないから親権の話もやり直す」
「面会交流の条件が気に入らないから財産分与も譲らない」
といったように、論点が相互に影響し合い、交渉が停滞します。
これは、各論点が独立しているようで実際には関連しているためです。
そのため、
- 論点ごとに区切る
- 優先順位をつける
- 一つずつ合意を積み上げる
という進め方が必要になります。
順序を設計せずに進めると、「話し合っているのに前に進まない」という状態に陥りやすいため注意が必要です。
養育費
離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありません。
親は子どもに対して扶養義務があるため、たとえ離れて暮らす非監護者であっても、養育費を支払う責任が生じます。
なお、養育費について協議する際は、毎月の金額、支払い期間、支払い時期、振込先口座など、可能な限り具体的に取り決めをし、書面化しておくことが大事です。なぜなら、養育費は一般的に子どもが成人するまでの期間毎月支払われるべき性質であるため、離婚後も長期間の支払いになります。後日紛争を引き起こすことがないように、取り決めについては書面化しておくようにしてください。
子どもの将来のためにも、公正証書(公証役場で公証人立ち合いのもと作成する公文書)にするなど、可能な限り厳格に取り決めを行うようにしてください。
面会交流
子どもと離れてくらす親が、定期的に子どもと交流を図れるように、離婚時には面会交流についても取り決めをしておきましょう。
面会交流は、夫婦が協議離婚する際に定めるべき事項として民法に規定されているだけでなく、すでに夫婦が別居中であれば離婚の前後を問わず行われるべきものです。
子どもの年齢によって都度変更すべきではありますが、交流の日時や頻度、父母間での連絡手段など、子どもの健全な成長のためにも面会交流を実施するのが理想的です。
年金分割
年金分割とは、婚姻期間中に一方、もしくは双方の配偶者が厚生年金保険料の納付していた場合、納付実績の一部を夫婦間で分割し、年金を平等に受け取れる制度です。
年金分割は、当事者の合意や家庭裁判所の決定によって分割する「合意分割」と、当事者からの請求によって2分の1ずつに分割される「3号分割」の2種類があります。ただし、いずれも離婚を受けて自動的に適用されるものではないため、あらかじめ協議をしておく必要がありますし、離婚後に年金事務所にて請求手続きをしなければなりません。
請求手続きは、離婚成立から2年以内と定められているため、この点にも注意しましょう。
弁護士に依頼するメリット
離婚条件で揉めている場合は、弁護士に依頼するのも良い方法の1つです。
弁護士であれば、上述した7つのポイントについて、すべて抜け目なく協議の対象とすることができます。
また、相手と対等な話し合いができない場合であっても、弁護士の介入によって不利な離婚条件を押し付けられる心配がなくなるメリットがあります。特に、相手からDVやモラハラを受けていた場合、相手と対等に話すのは簡単なことではありません。
その他にも、借金があるなど財産関係が複雑な場合、曖昧なまま離婚成立してしまえば、離婚後に困るのは自分自身です。しかし、弁護士に依頼することで複雑な問題もすべて任せられますし、弁護士の交渉力次第で、より有利な条件で離婚できる等のメリットもあります。
離婚でお困りの方は弁護士にご相談ください
離婚というのは、後になって後悔する方がたくさんいらっしゃいます。
どうしてもネガティブな感情が優先されてしまい、冷静な話し合いができないとなると、そんな状況から解放されたいがゆえに、先に離婚届を提出してしまいがちです。
しかし、上述したとおり、離婚する際には絶対に話し合っておくべきポイントが7つもあります。これらを曖昧にしたまま離婚をしてしまっては、損をすることにもなりかねません。
離婚後の新しい人生をより充実させるためにも、しっかり離婚条件についての取り決めをしましょう。もし、個人で解決するのが困難と感じた際は、どうか当事務所にご相談いただければ幸いです。
当事務所には、離婚問題に精通した弁護士が在籍しております。まずはお気軽にご相談ください。