離婚する際に絶対話し合うべき7つのポイントを弁護士が徹底解説

夫婦間ですでに離婚合意している場合、市区町村役場に離婚届を提出すれば戸籍簿上も離婚が反映されます。しかし、離婚条件が決まっていないため、離婚届の提出ができていないという方は多いのではないでしょうか?

中には、とにかく先に離婚を成立させたいという方もいますが、配偶者と離婚後トラブルを引き起こさないためにも、離婚届提出前に離婚条件についてしっかりと話し合いをしておくべきです。

そこで今回は、離婚時に決めておく必要がある7つのポイントについて解説していきます。

離婚時に決めておく必要がある7つのポイント

離婚時に決めておく必要がある7つのポイントは以下のとおりです。

①財産分与
②慰謝料
③親権
④養育費
⑤面会交流
⑥年金分割

それぞれ詳しく見ていきましょう。

財産分与

夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産は、二人の共有財産となっています。しかし、夫婦が離婚するとなれば共有財産というわけにもいかないため、財産分与を行うことになります。

財産分与の割合は原則2分の1ずつとされていますが、収入の少ない側に対して離婚後の扶助的な意味合いでの増加や、有責配偶者に対して慰謝料的な意味合いで減少するなど、変更されることもあります。

また、よく収入の多い側が多く受け取れるといった勘違いをされている方がいますが、収入の有無で財産への貢献度が決まるわけではありません。たとえば、専業主婦(主夫)であるというだけで、貢献度が少ないと判断されるわけではないのです。

なお、財産分与には離婚から2年間という時効期間があるため、離婚後に取り決めをするのではなく、離婚前に取り決めをするのが理想と言えるでしょう。

慰謝料

慰謝料というのは、離婚時に必ず発生するものではありません。

しかし、離婚原因がどちらかの不貞行為であったり、身体的・精神的暴力といった不法行為であったりした場合、被害を受けた側は相手に対して、慰謝料という名目で損害賠償請求をすることができます。

請求できる金額に特段ルールはありませんが、一般的には相場と言われるものがあり、その範囲内で慰謝料が支払われるケースが多くなっています。

なお、慰謝料の請求についても、自身に損害があることを知った日から3年間という時効期間があります。離婚前にしっかりと決めておくべきポイントの1つです。

親権

夫婦間に未成年の子どもがいる場合、離婚時には必ず親権者を指定しなければなりません。

親権者の指定をしていない場合は、離婚届を受け付けてもらえないため注意が必要です。

仮に一度でも離婚届が受理されてしまうと、親権者の変更は容易ではなくなります。よって、とりあえずどちらかを親権者として指定しようといったことはせず、子どもの現在の生活、養育環境、将来についてなどを考慮し、どちらが親権者としてふさわしいかを決めましょう。

なお、親権者と監護権者を別にすることも可能です。監護権者とは、実際に子どもと生活を営む親のことです。一方で、非監護権者とは、子どもとは離れて暮らす側の親のことです。とはいえ、一般的には親権者=監護権者であることと、なにかトラブルがあった際に不都合を引き起こすリスクもあることから、あまりお勧めできるものではありません。

養育費

離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありません。

親は子どもに対して扶養義務があるため、たとえ離れて暮らす非監護者であっても、養育費を支払う責任が生じます。

なお、養育費について協議する際は、毎月の金額、支払い期間、支払い時期、振込先口座など、可能な限り具体的に取り決めをし、書面化しておくことが大事です。なぜなら、養育費は一般的に子どもが成人するまでの期間毎月支払われるべき性質であるため、離婚後も長期間の支払いになります。後日紛争を引き起こすことがないように、取り決めについては書面化しておくようにしてください。

子どもの将来のためにも、公正証書(公証役場で公証人立ち合いのもと作成する公文書)にするなど、可能な限り厳格に取り決めを行うようにしてください。

面会交流

子どもと離れてくらす親が、定期的に子どもと交流を図れるように、離婚時には面会交流についても取り決めをしておきましょう。

面会交流は、夫婦が協議離婚する際に定めるべき事項として民法に規定されているだけでなく、すでに夫婦が別居中であれば離婚の前後を問わず行われるべきものです。

子どもの年齢によって都度変更すべきではありますが、交流の日時や頻度、父母間での連絡手段など、子どもの健全な成長のためにも面会交流を実施するのが理想的です。

年金分割

年金分割とは、婚姻期間中に一方、もしくは双方の配偶者が厚生年金保険料の納付していた場合、納付実績の一部を夫婦間で分割し、年金を平等に受け取れる制度です。

年金分割は、当事者の合意や家庭裁判所の決定によって分割する「合意分割」と、当事者からの請求によって2分の1ずつに分割される「3号分割」の2種類があります。ただし、いずれも離婚を受けて自動的に適用されるものではないため、あらかじめ協議をしておく必要がありますし、離婚後に年金事務所にて請求手続きをしなければなりません。

請求手続きは、離婚成立から2年以内と定められているため、この点にも注意しましょう。

弁護士に依頼するメリット

離婚条件で揉めている場合は、弁護士に依頼するのも良い方法の1つです。

弁護士であれば、上述した7つのポイントについて、すべて抜け目なく協議の対象とすることができます。

また、相手と対等な話し合いができない場合であっても、弁護士の介入によって不利な離婚条件を押し付けられる心配がなくなるメリットがあります。特に、相手からDVやモラハラを受けていた場合、相手と対等に話すのは簡単なことではありません。

その他にも、借金があるなど財産関係が複雑な場合、曖昧なまま離婚成立してしまえば、離婚後に困るのは自分自身です。しかし、弁護士に依頼することで複雑な問題もすべて任せられますし、弁護士の交渉力次第で、より有利な条件で離婚できる等のメリットもあります。

離婚でお困りの方は弁護士にご相談ください

離婚というのは、後になって後悔する方がたくさんいらっしゃいます。

どうしてもネガティブな感情が優先されてしまい、冷静な話し合いができないとなると、そんな状況から解放されたいがゆえに、先に離婚届を提出してしまいがちです。

しかし、上述したとおり、離婚する際には絶対に話し合っておくべきポイントが7つもあります。これらを曖昧にしたまま離婚をしてしまっては、損をすることにもなりかねません。

離婚後の新しい人生をより充実させるためにも、しっかり離婚条件についての取り決めをしましょう。もし、個人で解決するのが困難と感じた際は、どうか当事務所にご相談いただければ幸いです。

当事務所には、離婚問題に精通した弁護士が在籍しております。まずはお気軽にご相談ください。



監修者:弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡
[経歴]
東京大学卒業
第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録

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