離婚にまつわる子供とお金の問題(親権問題)

さまざまな理由から離婚を検討している方もいるでしょう。しかし離婚しようと思っても、その後の生活や子供の養育費、親権や手続きなどについてわからないことが多く、不安や悩みを抱えている方も少なくありません。

子供に苦労させたくない、手続きが長引くと子供に悪影響なのではないかと思うとなかなか離婚に踏み切れないものです。

この記事では離婚を検討しているけれど子供の生活や親権などが気になっている方に向けて、離婚の際の親権や戸籍、相続といった手続きやお金の問題などについて解説します。

離婚前にしておきたいことや養育費の金額、離婚後の面会などよくある悩みについても解説するので参考にしてください。

離婚が子供に与える影響とは

離婚することで子供には多かれ少なかれ変化や影響があります。考えられる影響としては以下の3点が挙げられます。

・苗字が変わる
・生活環境が変わる
・片親がいないことへのストレス

苗字については、母親に親権があったとしても子供は今までの苗字を名乗ることになります。ただし手続きをすれば母親の旧姓に変更することが可能です。
さまざまな理由から変更するケースもありますが、学校や周囲への影響があり子供にとってストレスになる可能性もあります。

また、引っ越しによって転校しなければいけなかったり、今まで住み慣れた家から出ていかなければいかなかったりと離婚によって生活環境ががらりと変わることは少なくありません。片親がいないことで捨てられたと思ってしまうなどストレスを抱えてしまう可能性もあります。

一方で両親が不仲で言い争いが絶えなかったり、家庭の雰囲気が悪かったりする場合には離婚しなくても子供にとって大きなストレスがかかります。そのため状況次第では離婚を選択したほうが良い場合もあります。

実際に離婚する前にしておきたいこととして以下の2つが挙げられます。

離婚協議書を作成する

まずは離婚協議書を作成しておくと良いでしょう。
離婚協議書とは離婚する際に夫婦間で合意した内容を文書にした契約書のことです。協議離婚の場合には離婚後の養育費や財産分与などのさまざまな取り決めをしておく必要があります。

口約束では言った言わないの水掛け論になる可能性もあるため、文書として残しておきましょう。取り決めた内容を離婚協議書として残しておくことで離婚後にトラブルになる可能性が低くなります。離婚協議書には以下のことを記載するのが一般的です。

・親権者:子供の親権をどちらが持つかについて
・養育費:子供が自立するまでに必要とされる金額や支払い開始・終了年月日、支払い方法など
・面会:離婚後の子供との面会頻度や方法、場所など
・財産分与:婚姻期間中に形成した財産の分与内訳など
・清算条項:双方に債権債務がないことを確認する項目

不倫や配偶者からのDV・モラルハラスメントなどが原因で離婚する場合には慰謝料が発生するケースもあるでしょう。その場合には慰謝料の項目も追加して記載します。

離婚後の子供の生活について検討する

親権者や家の分与により引っ越しを余儀なくされる場合もあります。生活する場所や学校、生活水準がどのように変化するのかについてもしっかりとイメージしておきましょう。

子供にとっては生活環境の変化が多大なストレスになる可能性もあります。そのため子供の性格なども考慮しながら、離婚後にどのような生活を送ることになるのか、子供への影響が大きすぎないかなどを慎重に検討しましょう。

子供の養育費はどれくらい?

養育費とは子供を育てるために必要となる費用のことです。子供を監護する親は子供を監護していない親に養育費を請求する権利があり、監護していない親には養育費を支払う義務があります。

養育費には以下のような費用が含まれます。
・衣食住にかかる費用
・学費
・医療費
・交通費
・習い事などの費用
・塾などの教育費
・小遣い

養育費としてもらえる金額は家庭によって異なります。
養育費を計算する際にはまず、支払う側(義務者)・もらう側(権利者)双方の基礎収入を認定し、親権者と子供・養育人を支払う人それぞれの最低生活費を認定します。

そして、養育費を支払う側ともらう側の負担能力の有無を確認し、子供の生活費として必要な額の認定、支払う側の負担分を認定する流れになります。

ただしこの方法では認定までに多くの資料が必要になり時間もかかってしまいます。そのため標準的な養育費を算出できる一覧表である「養育費算定表」を利用して養育費の計算を行うケースが多いとされています。

離婚したら子供の親権はどうなる?

離婚の際はどうしても子供の親権が問題となり、親権者は夫婦の話し合いによって決定します。また、子供がいる場合に親権者が決まらなければ離婚は成立しません。

そのため話し合いで親権者が決まらなかったときには離婚調停を行い、親権者を決定します。調停になる場合には4つの判断基準により親権者が決められます。

以下では4つの判断基準について詳しく解説します。

親権者に求められる4つの原則

親権者を決める際には「子の利益」が重視されます。
子の利益は「継続性の原則」「兄弟姉妹不分離の原則」「母性優先の原則」「子供の意思尊重の原則」の4つの原則を基準として判断されます。

継続性の原則とは現状維持を重視する原則です。
例えば子供のそれまでの生活が安定しているケースでは、学校や友人関係、生活環境などを変化させることなく現状維持できること、親の事情によって環境を変えないことが重視されます。

兄弟姉妹不分離の原則は兄弟や姉妹がいるケースでは一緒に生活したほうが良いという考え方です。
兄弟姉妹がいる場合、それぞれに親権者を指定しますが子供の性格形成の観点から一緒に暮らしたほうが良いと考えられており、親権を片方の親に集中するケースが多いとされています。

母性優先の原則では子供の年齢が小さい場合に母親が優先されます。
子供が幼いケースでは母親と一緒にいたほうが良いと考えられるケースが多く、基本的には10歳以下なら母親が親権者として指定される場合が多いです。
また10~15歳以下の場合生活環境や経済状況などが同条件なら母親が、15~20歳なら子供の意志が尊重されます。

子供の意志尊重の原則とはその名のとおり、子供の考え方や意思が尊重される原則です。
子供が15歳以上の場合、訴訟などでは子供の意見を聞かなければならないと定められています。
子供の意見が絶対というわけではありませんが、親との関係性や生活環境といった子供の意見も重視されます。

離婚後の子供の面会について

離婚する場合には親権者を指定しますが、親権者にならなかった側の親には「面会交流権」があります。
面会交流権は子供と離れて暮らしている親が子供に会ったり手紙や写真、プレゼントなどを渡したり、交流をもつ権利のことです。面会交流については離婚時に会う回数や方法、場所や時間などについて夫婦で話し合って決定します。

話し合いで決まらなかった場合には調停や審判を申し立てて決めることになります。

ただし、面会交流権は必ずしも認められるとは限りません。
「子供の福祉」に合致しないと判断された場合には面会交流が認められないケースもあります。

例えば、家庭内暴力などが原因で離婚し面会することで子供に悪影響がある場合や、子供がある程度の年齢に達しており(一般的には15歳以上)で面会を拒絶しているケースなどがこれに当たります。

親権をもっていない親に薬物使用の疑惑があったり子供を連れ去ったりする可能性がある、問題行為や違法行為をしており子供に危害を加える可能性がある場合なども認められません。

子供の苗字や戸籍はどうなる?

離婚した場合、子供の苗字や戸籍の扱いはどうなるのかは気になるポイントでしょう。以下では苗字や戸籍の扱いや手続きについて解説します。

離婚後の子供の苗字

離婚した場合、基本的には婚姻時に苗字を変えた側は旧姓に戻りますが、子供の戸籍の苗字が自動的に変わることはありません。

例えば、離婚して親権を母親が持つことになった場合、母親が旧姓に戻ったとしても子供は今まで使っていた苗字をそのまま使うことになります。
つまり、一緒に暮らしていても母親と子供の苗字は異なるということです。

離婚後の子供の戸籍

離婚後の子供の戸籍は自動的に親権者に移動するわけではありません。母親が親権を持つ場合であっても、手続きをしなかった場合は離婚する前の戸籍のままになります。

また親と子供の苗字が違う場合には、親の戸籍に子供が入ることはできないため注意しましょう。

子供の姓や戸籍を変更する場合

母親が親権を持ち苗字が変わったことで子供の戸籍を移したい場合には、母親の戸籍を新しく作る必要があります。戸籍を作る場合には離婚届を作成するときに「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れましょう。苗字の変更を行う際には裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てます。申請を行う際には以下の書類が必要です。

・申立書
・子供の戸籍謄本
・父親の戸籍謄本
・母親の戸籍謄本
・収入印紙(800円)
・返信用郵便切手

子供の苗字変更が完了したら「許可審判書」が発行されるので、子供の本籍地もしくは自分の住所地の役所に「入籍届」と一緒に提出しましょう。これで戸籍の移動が完了します。

離婚後、元夫(妻)の財産を子供は相続できる?

離婚した元夫(妻)の財産を元妻(夫)が相続する権利はありませんが、子供には相続する権利があります。離婚した場合、夫婦関係が解消され夫と妻は他人という扱いになりますが、子供は親が離婚していたとしても子供であることに変わりはありません。

親子関係は継続しているため親権をどちらが持っているかに関わらず、父親と母親双方の財産を相続する権利が子供には発生します。

補足として再婚した配偶者に連れ子がいた場合は、長年一緒に暮らしたとしても連れ子との間には法律上の親子関係がないため、相続権は認められません。
連れ子にも財産を相続させたい場合には、養子縁組をする必要があります。

離婚後の子供の扶養はどうなる?

離婚後に子供を父親の扶養から外して母親の扶養に入れる場合は、まず父親の扶養から外すための手続きを行う必要があります。

父親の扶養から外す方法は、父親の勤務先の健康保険組合に子供の健康保険証を返却し扶養から外す手続きをすれば完了です。

しかし、別れた親(夫)が養育費を支払う場合には扶養控除の申告が可能です。
扶養控除とは子供や親、親族などを納税者が養っている場合に受けられる控除のことで、扶養控除が受けられると節税につながります。

また、養育費を支払っている場合は子供を扶養しているとみなされ、親権者ではない場合でも扶養控除を申告できます。しかし、扶養控除を受けるためには継続的な養育費の支払いが必要です。

一括で養育費を支払ったり数回しか養育費の支払いがなかったりする場合には扶養控除の対象にはなりません。

また扶養控除はどちらか一方の親しか申告できないため注意しましょう。離婚時に子供がどちらの扶養に入るのか、扶養控除はどちらが申告するかなどをしっかりと決めておくと後からトラブルになることを防げます。

まとめ

離婚をすることで子供の生活環境は大きく変わります。
環境の変化が子供にとって大きなストレスになるケースもあるため、今後の生活について慎重に検討することが重要です。

また子供の問題だけでなく自分自身も行わなければいけない手続きが多くあるため心身ともに大きな負担がかかってしまいます。

離婚に関する手続きや子供への影響、スムーズに新生活に移行するための悩み事などがある場合には、まずは弁護士に相談してみると良いでしょう。
離婚問題に詳しい弁護士に相談すれば手続きなどに関して詳しく教えてくれますし、これまでの経験を踏まえたアドバイスなども受けられます。

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