離婚後の養育費はいつまで貰える?相場・決め方・注意点を徹底解説【弁護士監修】 | 離婚に強い岡山の弁護士なら西村綜合法律事務所

離婚後の養育費はいつまで貰える?相場・決め方・注意点を徹底解説【弁護士監修】

養育費は長期にわたって支払われるものです。したがって、月々でみれば少しの違いが塵も積もって大きな違いになり得ます。きちんとした形で・きちんと適正額を取り決めたいものですが、自分たちだけで話し合う場合と裁判所の手続を利用する場合とでは、留意すべきポイントが多少異なります。

また、
「いったん決めた金額を変更できないか?」
「相手が養育費を支払ってくれなくなった!」
ということもあるでしょう。

この記事では、上記のような場合にどうすればいいかを弁護士が解説します。

 

養育費とは?子どもがいくつになるまでもらえるのか?

確認しますと、養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまで発生するものです。具体的年齢はケースバイケースですが、話合いで取り決めをする場合、

  • 「18歳まで支払う。その後のことは別途協議。」
  • 「20歳まで」
  • 「22歳の3月まで」

あたりがよくある条項です。

いずれにせよ、子どもが小さいうちに離婚した場合、10年以上の長きにわたって発生するものであることは十分に頭に入れておきましょう。

また、別居・離婚後は養育費以外のサポートを受けられるケースも多々ありますのでこちらのページもぜひご覧ください。

養育費の平均額 ~本当に払ってもらえるのか~

ここで、統計を見てみましょう。厚生労働省が実施した”全国ひとり親世帯等調査結果”に平成23年と平成28年のデータが載っています。

「(3)養育費の受給状況」によると、平成28年の受給月額平均は、母子世帯で4万3707円、父子世帯で3万2550円となっています。もちろん、育てている子どもの人数によって違いがあり、例えば、母子家庭・子ども1人の場合は平均3万8207円、母子家庭・子ども2人の場合は平均4万8090円となっています(表17-(3)―13)。

受給世帯にとっては命綱であり得るこの養育費ですが、実は、父親側から「現在も受けている」割合はわずか24.3%、母親側からに至っては3.2%しかありません。長期にわたって発生するものであるため、様々な理由で、あるいは特に理由がなくてもなし崩し的に、養育費の支払が滞ることがとても多いんです。

ですので、取り決めを交わす際に、ポイントを押さえておくことが大切になってきます

養育費の支払期間

養育費の決め方

養育費は、多くの場合、夫婦が離婚するときに同時に話合いがなされます。夫婦間だけで協議が調えばそれが取り決めとなりますし、離婚調停(夫婦関係調整調停)の中で付随して養育費について話し合いをすることも、一般的に行われています。調停で折り合いがつかず、離婚訴訟に移行した場合には、離婚と併せて養育費の支払も請求することになるでしょう。

他方、離婚とは切り離して養育費についてだけ取り決めることも法的には可能です。例えば、離婚の際に養育費の取り決めがなされなかったような場合には、離婚後に、監護親が、養育費の支払を求める調停(又は審判)を申し立てることもできます。

しかし、離婚がまだなのであれば、決して後回しにせず、離婚を求めるのと同時に養育費の支払も求めましょう

始期

Q:離婚時に養育費の取り決めをせず、後から養育費分担請求を申し立てた場合、離婚時から申立時までの分の養育費も遡って請求できるでしょうか?

A:いろいろな考え方があり得るところですが、実務上、認められない運用です。

これは、養育費分担請求の始期はいつか、という問題であり、実務上、離婚時ではなく申立時とされています。より正確には、調停や審判の申立て以前に監護親が非監護親に請求した事実が証拠上明確であれば、請求時から認められることも多い、とされています。

この取扱いの当否については議論があり得るでしょうが、
・ 監護親は、過去の時点で請求しようと思えばできた
・ 一方、非監護親は、申立(請求)時点ではお金がないことがあり得る
・ それが、「請求できるのにしてこないので、請求の意思も必要もないものだと思って使ってしまった」という理由によるものであることもあり得る
・ それなのに、過去の分まで遡って全ての養育費請求を認めるのは、非監護親に過大な負担を負わせてしまうことになる

といった点が理由であると、一般的に理解されています。

ですから、後回しにせず、離婚時に養育費の請求をしておくことが大切です。

終期

では、養育費は、いつまで請求できるのでしょうか?

法的には、養育費とは、子が「未成熟子」である間、つまり経済的・社会的に自立するまでの間に発生するものですので、子が自立する時点が終期となります。もっとも、「自立」の意味も問題ですし、養育費を請求する時点で子がいつ「自立」するかは将来予測にならざるを得ませんので、目安が必要となります。当事者間で合意がまとまらず裁判所判断となった場合には、20歳で線引きされるのが通常です。

ただし、上記はあくまで合意がまとまらなかった場合の話ですので、協議や調停で取り決めができれば、柔軟な対応が可能です。
・ 四年制大学への進学率の高さを受けて、「22歳に達した後の3月まで」などとすることも多いですし、
・ あるいは、「18歳に達した後の3月までとし、大学進学予定がある場合は別途協議する」などという形にすることもあります。
・ また、従来は、「成年に達する日の属する月まで」と定めることもありました。

民法改正の影響

ここで、民法改正により令和4年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられますが、養育費の終期にどのような影響があるのでしょうか?
問題は、2つに整理することができます。

問題①:既に「成年に達する日の属する月まで」という合意がある場合、18歳が終期となるのか

ならない、と考えられます。なぜなら、上記の合意は、成人年齢が20歳であることを前提としてなされたと考えられる以上、「成年」とは20歳である(法改正があった場合にそれに従って終期を変更する趣旨ではない)と解釈するのが合理的だからです。
法務省も同様の解釈であり法務省:成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響についてに記載があります。

問題②:20歳で線引きする裁判所の運用が、変更されるのか

不透明です。ただ、見込みとしては、少なくとも当面の間は、運用に変更はないのではないかと思われます。

というのも、前述のとおり、養育費は子が自立していない間は発生するものであるところ、
・ 専門学校・大学への進学率の高さに照らせば、18歳は、経済的自立を期待し得る年齢ではないですし
・ 事実、今回の法改正は、若者の自己決定権の尊重・若者の積極的な社会参加の促進が趣旨であって、18歳で若者が経済的に自立できることを想定しているわけではない
からです。

参議院においても、「成年年齢と養育費負担終期は連動せず未成熟である限り養育費分担義務があることを確認するとともに、ひとり親家庭の養育費確保に向けて、養育費の取決め等について周知徹底するなど必要な措置を講ずること」などに「格別の配慮をすべき」とする附帯決議がなされています。こちらのページの「五」の箇所です。

したがって、成人年齢引き下げと連動して即、裁判所の運用が変わるものとは考えづらいところです。

ただし、成人年齢が18歳に引き下げられるということは、18歳になってからは民法上、単独で契約を締結できることを意味します。とすれば、独自に生計を立てることも可能であるはずだ、という考え方もあり得ます。

そして、裁判所が現在、22歳ではなく20歳で線引きをしていることにも鑑みますと、今後の運用を見守る必要はありそうです。

離婚後の養育費における金額の考え方

基本的な考え方

養育費の額を決めるに当たっては、ごく大まかに言うと、
① 監護親・非監護親それぞれの収入がどれくらいで、そのうち可処分所得の割合はどれくらいか
② 大人と比べ、子どもの生活費にどれくらいかかるか
を考慮して決めます。

裁判実務において使われている計算式があるのですが、当事者の方々に分かりやすくご明できるよう、「算定表」といういわば早見表が裁判所によって作られています

子どもの生活費は年齢と人数によって変わりますので、それぞれ場合分けした上で、縦軸に非監護親の収入、横軸に監護親の収入をとり、クロスさせたところに書かれている額が想定される養育費の額になります。

特別な事情

裁判所実務において、養育費の額は、原則として、算定表に則って決められます。
もっとも、算定表に則って算定することが著しく不公平となるような特別な事情がある場合には、算定表を修正して、より適正な養育費を定めることになります。
具体的には、以下のような事情が特別事情になり得る代表例です。

特別の事情①:子どもの教育費・医療費

標準的な教育費・医療費は、算定表において既に織り込み済みですが、標準的とまでは言えない分について、その分担が問題となることがよくあります。

教育費についてみると、算定表では公立学校における学校教育費相当額が考慮されています。そのため、子どもが私立学校に通っている場合に加算できるかが問題となります。塾や習い事の費用も問題となりますが、学費よりは慎重に判断がされる傾向にあります。

医療費については、歯列矯正費がしばしば問題となるほか、子どもに持病や障がいがあるケースで、加算が検討されます。

これらについては、必要性の程度、非監護親の承諾の有無や収入、学歴、地位などを考慮して、負担させることが不合理でないと言える場合には、加算を認める方向に傾くことになります。

特別の事情②:住宅ローンの負担

住宅ローンも要は住居費用であり、算定表では、収入から可処分所得を求める際に控除済みです。したがって、通常は、考慮されません。

しかし、時々、一方当事者の住居の住宅ローンをもう片方の当事者が負担しているようなケースがあります。この場合、住宅ローンの負担者は、自身の住居費に加えて他方当事者の住居費も負担していることになるため、算定表で考慮されている以上に可処分所得が(収入に比べて)低いことになりますし、他方当事者は、可処分所得が実際より低く見積もられていることになります。
これは不公平ですので、特別事情がある場合として修正がかかることになります。

養育費を話し合って決める際のポイント・注意点

ではまず、裁判所の手続を利用せずに当事者間の話合いだけで養育費を決める場合、どのあたりがポイントになるのでしょうか。

ポイント①:公正証書を作成しましょう!

調停等との違い

例えば、裁判所での調停の結果、養育費の取り決めがなされた場合、調停調書というものが作られます。そして、もし取り決めどおりに養育費が支払われなかった場合、その調停調書を裁判所に持っていけば、支払義務者の財産を押さえて、強制的に支払わせることが可能です(強制執行といいます。)。
他方、裁判所の関与しない当事者間の話合いで養育費を決めた場合、口頭のみの取り決めの場合はもちろん、きちんと書面に残したとしても、それを裁判所に持って行っても、強制執行に取り掛かることはできません

その前に、「こういう書面がある以上、私には、養育費の支払を求める権利があります。それを認めてください。」という裁判を起こした上で、その裁判の判決を獲得して初めて、強制執行に取り掛かることができます。つまり、調停調書のような書面には、通常の書面にはない、いわば特別な力があるのです(そのような力がある書面のことを「債務名義」といいます。)。

しかし、上記のとおり、養育費は、支払が滞ることがしばしばあります。しかも、ひとたび支払が滞ればたちまち生活に影響が出かねない、いわば生命線です。それなのに、裁判を起こさなければ強制執行できないというのは致命的です。それをクリアする方法が、公正証書を作成することです。

「強制執行認諾文言付き公正証書」

公証人法という法律に基づき、法務大臣が任命した公証人という方々が作成する公文書です。法律的な効果のある意思表示があったことを明確に残しておくために使われます。
今回、裁判なしで強制執行を可能にするためには、正確には、「強制執行認諾文言付き公正証書」というものを作ります。これは、公正証書に「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した」という一文が加えられたものをいいます。これがあると、法律上、裁判手続を経ずに強制執行に取り掛かることができるものとされています(民事執行法22条5号)。
裁判所の関与なしに話合いで養育費を決める場合は、ぜひ、この「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成しておきましょう!

 

ポイント②:後から変更しにくいので慎重に、長い目で決めましょう

「何を今さら…」と思うかもしれません。しかし、もしあなたが「調停なしに話合いで解決したい」と思ってこの記事をお読みになっている場合、それは何故なのか、思い出してみてください。
「調停なんかしなくても話合いが円満にまとまりそうだから」ということであれば、問題ありません。
しかし、早く離婚の話をまとめたい!だから調停なんかしたくない!」というお気持ちが少なからずあるならば、注意した方がいいかもしれません。「早く離婚したいがために相場より大幅に低額/高額な金額で合意してしまう」ことがよくあります。

そして、そのような場合に、後から「やっぱり相場どおりの金額にしたい」と思っても、認められません。相場額と違うとはいえ合意があったことは事実ですので、それを事後的に変更するには、合意時点以降に事情の変更があったこと必要になります。
繰り返しになりますが、養育費は、長期間、支払/受給が続くものです。
必ず、慎重に、判断してください。

裁判所の手続を利用する場合

以上に対して、調停を申し立てるなど裁判所の手続を利用する場合、一定の知識を有する第三者が間に入りますので、相場額と大幅な乖離が生じるリスクは、相対的には小さいと言えます。ここでは、むしろ問題は逆で、通常とは違う事情があるのに、それを考慮してもらえないまま金額が決められてしまう可能性があることです。

裁判所では、簡便に養育費を算定できるよう、いわゆる算定表というものを定めて公表しています。現状、算定表には強い通用力がありますので、適切な主張をしないままだと、例外事情を考慮されることなく、いわば既定路線どおりに算定表そのままの金額で決められてしまいます。

もちろん、どんなことでも算定表の修正事由になるわけではありませんので、何でも声高に主張すればいいというものではありません。修正事由は限られていますので、メリハリを付けて主張を組み立てることが大切になってきます。

裁判所が活用している算定表については以下の記事で解説しております。

後から金額を修正したい場合

以上は、最初に養育費の取決めを交わす場合の注意点でしたが、では、いったん決めた養育費の金額を、後から変更することはできるのでしょうか?もちろん、当事者どうしの話合いで改めて合意できれば可能です。では、話合いがまとまらなければどうでしょうか?

上でも少し触れましたが、結論としては「金額の変更は可能だが難しいことが多い」です。

法律上、(元)夫婦も含めて、一般人どうしが合意するとき、その内容は自由に決められます。例外は、合意内容が「公序良俗」(公の秩序や善良な風俗)に反しているとまで言えるレベルに達している場合や、合意成立過程で詐欺や強迫があった場合に限られます。逆に言えば、そういう例外にあたる場合でない限り、裁判所(国家)は、合意の内容に口出しすることができません。
したがって、内容の当否はどうあれ、いったん養育費の金額が合意された場合、「内容がおかしいから変えてくれ」という主張は、原則的には通りません。通るのは、「その後、事情の変更があって、事後的に内容がおかしくなったから変えてくれ」という場合です
加えて、合意当時と状況が全く変わらないことなどおよそあり得ませんから、その事情変更が、合意当時に予期できなかったと言えることも必要になります。

事情の変更(養育費の増減)が認められたケース

は、具体的に、どのようなケースであれば養育費の増減が認められるのでしょうか?
裁判例などで「事情の変更」が認められたケースを挙げてみますと、次のとおりです。

減額のケース

・支払義務者が、病気・事故・失業・破産などのために収入が激減したケース
・支払義務者が再婚し、再婚家庭の生計も維持しなければならなくなったケース
・合意後に両親からの援助が期待できなくなったケース
・養育費を受け取る側の親の収入が増加したケース

増額のケース

・子どもが病気にかかり、治療のため高額な医療費が必要になったこと
・物価が上昇したこと

事情の変更(養育費の増減)が認められなかったケース

他方、増減が認められなかったケースは、次のとおりです。
・子どもが学齢期に達すれば就学し、教育費が多少増加することは当初の養育費の算定時に考慮されていたことを理由に、増額請求を否定したケース
・離婚の際に1000万円の養育費を支払うこと及びそれ以外の将来にわたり請求を一切しないとの合意をしていた事案で、特段の事情の変更がないことを理由に増額請求を否定したケース

養育費が支払われない場合の対応手段

前記のとおり、遺憾ながら、養育費は、最後まで支払われることがむしろ少ない状況です。では、支払が滞った場合、どのような手段が採れるのでしょうか?
以下、裁判所を通じて採り得る手段をご紹介します。

履行勧告・履行命令

既に養育費についての調停が成立したか、審判又は裁判がなされている場合、そのときに利用した裁判所に再び申し立てることで、養育費を支払うよう勧告してもらったり(家事事件手続法289条1項、同条7項、人事訴訟法38条1項)、命令を出してもらうことができます(家事事件手続法290条1項、同条3項、人事訴訟法39条1項)。
この手続のいいところは、費用がかからないことです。しかし、強制力に乏しいのが難点です。履行勧告は文字どおり「勧告」ですし、履行命令は、従わなかった場合でも10万円以下の過料にしかなりません(家事事件手続法290条5項、人事訴訟法39条4項)。
ですので、支払うつもりがあるかどうか様子見をするのに履行勧告が利用されることなどはありますが、履行命令は、あまり活用されていません。司法統計資料によると、養育費に限定された数字ではありませんが、令和元年度の履行勧告事件総数が1万4117件であるのに対し、履行命令事件総数はわずか79件です(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/310/011310.pdf)。

直接強制

上記に対して、支払義務者の財産を強制的に押さえてこちらの請求を実現するのが、直接強制という制度であり、権利を実現するのに一番端的な形と言えるでしょう。

ただ、形としては端的でも、費用がかかります。また、一定の手間や時間もかかりますし、前述の債務名義(公正証書や調停調書、判決書等)を持っている方しか利用できません。

民事執行法上の特則

差押禁止債権の範囲の例外

ところで、養育費の支払を求める場合、具体的に支払義務者の何の財産を押さえるかといえば、多くの場合、支払義務者の給与債権でしょう。ただ、給与債権は、労働者の生活の命綱でもあることから、原則的には、その4分の3は差し押さえることができないものとされています。
しかし、養育費の場合、それは同時に子どもの命綱でもありますので、例外的に、差押禁止の範囲が2分の1まで引き下げられています(民事執行法152条3項)。

期限到来前の差押えの特例

また、これも民事執行法上の原則としては、こちらが支払を求める債権の支払期限が到来していない限り、差押え手続を開始してもらうことはできません。当たり前のような気もしますが、養育費の場合は月々の支払が通常ですから、差し押さえる側は、毎月毎月差押えの申立てをしなければならないこともあり、およそ非現実的です。
そこで、例外的に、養育費不払の場合には、期限が到来していないものについても執行することができるものとされています(民事執行法151条の2)。

差し押さえや強制執行について、以下のページで詳しく解説しておりますのでご覧ください。

令和元年民事執行法改正について

また、同じく給与債権に関することで、令和元年に法改正がされた点があります。
先程からご説明している直接強制という手続ですが、これは、そもそも、支払義務者がどこに勤めているかが分からない限り、利用することができませんでした(差し押さえる対象の債権が特定できないからです。)。しかし、そのため、支払義務者が転職してしまった後、転職先が分からず、養育費の強制執行を掛けられないケースが問題になっていました。
そこで法改正がなされ、裁判所を通じて、市町村等に勤務先を照会できることになりました(改正民事執行法206条1項)。

間接強制

以上に加えて、支払を怠っている支払義務者に対し、裁判所から一定の金額(例えば1日あたり数千円)の支払を命じてもらって、いわば間接的に心理的プレッシャーをかける方法もあります。この間接強制についても特則が設けられており、既に不払があった場合は、一回の申立てで、将来6か月分の養育費についても執行することができるものとされています(民事執行法167条の16)。

直接強制の方が端的な方法ではあるのですが、例えば、給与を差し押さえてしまうと支払義務者が退職を余儀なくされて結局共倒れになってしまうなど、何らかの事情で直接強制が憚られる場合に活用することが考えられます。

 

養育費のトラブルは西村綜合法律事務所へご相談ください

養育費の適正な算出や強制執行などをご自身で行うのは難しく、非常に労力がいるものです。弁護士であれば依頼者の権利を実現するための最善の方法を考えてもらうことができます。

当事務所ではさまざまな種類の差し押さえを数多く手掛けてきましたので、最大限あなたの希望を実現できるよう,全力でサポートさせていただきます。

初回相談は無料とさせていただいておりますので、岡山県にお住まいの方に限らず、お悩みの方はぜひ無料相談をご利用ください。

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