親権者と監護権者はどちらが有利?親権獲得のポイント

離婚等において親権者や監護者という言葉が使われることがあるかと思いますが、これらの言葉についてどのような意味を持つのか、どのように決まるのかについて分からない方も多いかと思います。

そこで、今回は親権者や監護者の意味や決定方法等をご説明させていただきます。

親権者の定義

親権者とは、子を適切に養育するための権利かつ義務である親権を持つ人を意味します。以下では、親権について説明します。

 

親権者に含まれる権利

親権には、子の世話、しつけ等の監護及び教育をする身上監護権と子の財産管理をする財産管理権があります。

身上監護権の監護とは、子に衣食住等を与え、子を養育することを意味しています。具体的には、子が病気になった場合には受診させたり、病気予防のために必要な指導を行ったりなど、子が成長する上で必要な一切の行為を含まれます。また、身上監護権の教育とは、家庭教育や学校教育に限定されることなく、子の知識、道徳、運動能力を取得するなど、子が成長するために必要な教育をすることを意味します。他に身上監護権の内容としては、子の生活場所を指定する居所指定権があります。具体的には、子を全寮制の教育機関に入学させることが挙げられます。さらに、身上監護権には、子が職業を営む場合に許可する権利や子に名前をつける命名権も含まれています。

財産管理権は子の財産に関する契約などの法律行為について包括的な代理権を意味します。具体的には、子が交通事故の被害者になり、子に対して損害賠償金が支払われたり、祖父母による生前贈与や遺贈によって財産を取得したり、父母の死亡によって子が損害賠償請求権を相続したり、生命保険を取得したりしたときにその財産をどのように管理するかについて親権者が決めることになります。

監護権との違い

監護権は基本的には、身上監護権を意味します。そのため、親権と監護権と異なる点は、財産管理権があるかないかです。したがって、親権に監護権は含まれますが、監護権には親権が含まれないという関係にあります。

親権者を決めるための基本条件

親権者を決めるときには「子の利益と福祉」を中心に決めます。一般的には、「子は母親が引き取って育てるのが最善」とはいいますが、親権者を決定するためには、家庭裁判所の調査官が子供にとっての家庭環境や当事者である両親について調査を行い、どちらが親権者としてふさわしいかを判断します。経済的な余裕や仕事の職種によって有利不利が画一的に決まるわけではありません。そこで、以下では親権者となる基本的条件について説明します。

条件①継続性・健康状態・子と接する時間

親権者となる者の事情として監護の継続性、健康状態の良好性、子と接する時間を確保できることが考慮されます。

監護の継続性については、現実に子を監護している側が親権者になりやすいです。なぜなら子の生活環境に問題がないのであれば現在の状況を尊重し、子の生活環境の大きな変化は避けるべきであると考えられているからです。健康状態の良好性については、心身共に良好であることが重要となり、精神的に不安定であったり、アルコール依存症などであったりすると子の養育が十分にできないと判断され、親権者として相応しくないと判断される可能性があります。子供と接する時間の確保については、仕事と育児がどれだけ両立できるかが重要となってくる可能性があります。

条件②子の年齢や情緒

子側の事情として子の年齢や子自身の事情も考慮します。裁判所による調停、審判、離婚訴訟では10歳程度までは母親によるスキンシップが重要であるとの見解が強いです。その反面、15歳以上の子については物事に対して自分で意思決定する能力が十分であると考えられており、親権者の判断にあたって、子自身の意思や希望が考慮されることが多いです。ただし、両親の離婚という衝撃的な事実を目の当たりにした子の意思をどのように考慮すべきかについては子の情緒を十分に配慮することになります。

条件③監護補助者の存在

他に親権者となる者の周辺環境として監護補助者となる親戚等がいるのかも考慮されます。働く上で、子の面倒を見てくれる監護補助者の存在は重要です。監護補助者は祖父母などの親族がなることが多いです。もっとも、監護補助者の心身状況、人格、育児経験は重要な考慮要素となりますし、監護補助者は必ずしも親族でないといけないわけではなく、保育施設を監護補助者とすることも可能です。

親権を獲得するために知っておくべきポイント

次に、親権を獲得するために知っておくべきポイントについてご説明します。

ポイント①経済力はさほど考慮されない

経済的事情は大きな問題ではありません。子の幸せは金銭で決まるものではありませんし、養育費等によって解決できる部分となります。そのため、必ずしも親権者の判断として経済的事情は重要な基準とはなりません。

ポイント②離婚の原因も重要視されない

離婚の原因がどちらにあるかは基本的には親権者を決める際に重要視されません。あくまで子の利益や福祉を優先基準とされるため、たとえ親が不貞行為をしたとしてもそれを決定的な理由として親権者になれないということはありません。ただし、あらゆる条件が対等で、両者が親権を主張した場合は、不貞行為をした側が不利になるということはあり得ます。

ポイント③別居中の「子と居た時間」には注意

別居期間が継続すると、子を監護している側が親権者になりやすいことについては注意が必要です。もし、配偶者に子を連れ去れられて別居期間が長期化すると、相手方に子の監護実績が積み上がり、監護の継続性という観点から相手が親権者となりやすくなってしまいます。

そのため、親権者になることを希望する場合、配偶者に子を連れ去られてしまったときには、速やかに裁判所の手続き等を使うことによって子が自分と一緒に生活できるようにすることが重要となってきます。

親権を争う前に弁護士に相談を!

親権者をどのように決めるかについては様々な事情が考慮されます。もし、親権獲得を希望する場合には、先ほど、ご説明させていただいた条件やポイントを踏まえて自分が親権者としてふさわしいことを証拠等に基づいて主張していくことが、重要となってきます。また、最初は、自分が親権獲得を希望していなくて、相手が親権獲得を希望している場合でも、よくよく調査すると親権獲得を希望している相手が子のためではなく、自分自身が受け取ることができる児童手当等の獲得を目的として親権獲得を希望しており、かえって子にとって望ましくないときもあります。そのため、親権者を決める場合は、慎重になるべきです。親権者を決めるときに専門家である弁護士に相談することによって子にとって適切な形で親権者を決めることができる可能性が高くなります。

 親権者の決め方に悩んでいる方には、一度弁護士にご相談ください。

           

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