不貞行為による慰謝料の相場について|ケース別紹介

不貞行為の慰謝料を求められたり、求めたりするケースに遭遇した場合、どのような金額が適切であるか分からずお悩みの方がいらっしゃるかと思います。

そこで、こちらの記事では不貞行為による慰謝料がどのように決まるかについてご説明させて頂きます。

不貞行為の定義

そもそも、不貞行為とは何かについて法的観点からご説明させて頂きます。

不貞行為とは

不貞行為とは、自由な意思に基づいて配偶者以外の人と肉体関係をもつことをいいます。

不貞行為の相手は、特定のものであるか、不特定の者であるかを問いません。また、不貞行為は自由意思に基づくものなのでレイプをしたことは不貞行為になりますが、レイプを受けたことは不貞行為にはなりません。

慰謝料請求が検討できる条件

不貞行為に基づいて配偶者の浮気相手に慰謝料が請求できる場合の要件は、浮気相手が、配偶者は既婚者であることを知っていた(故意)又は知ることができた(過失)にもかかわらず、配偶者と肉体関係を持ったため(不法行為)、自分自身が精神的苦痛(精神的損害)を受けた場合に慰謝料を請求することができます。

そのため、配偶者が言葉巧みに浮気相手に対して自分が独身であると嘘をついて信じ込ませていた場合など、不貞行為の態様によっては、故意や過失が認められず、浮気相手に慰謝料を支払わせることができないことがあります。

不貞行為による慰謝料の相場

不貞行為による慰謝料の金額はだいたいどれくらいの金額になるのかについて以下ではご説明させて頂きます。

一般的な相場

不貞行為が原因で離婚した場合の慰謝料は、婚姻期間、配偶者の経済状況、離婚の原因となった責任の重さなどが考慮され、約100万円〜300万円が裁判所の一般的な認定額と考えられています。

慰謝料が高額になるケース

慰謝料が、一般的な金額を超えるようなケースとして東京地裁平成19年7月27日判決があります。事案の概要は次のとおりです。

夫と浮気相手は、約20年間に渡って肉体関係を持ち、夫と浮気相手の間には夫が認知した子が2人いました。そして、夫は、平成18年3月6日に死亡しました。その後、妻が夫の浮気相手に対して1億円の損害賠償を求めました。

裁判所としては、慰謝料の金額として500万円が相当であるとしました。比較的高額の慰謝料を認めた理由として裁判所は、約20年間という長期間であること、夫が毎日浮気相手の家に通うかたちで浮気相手との関係を継続したこと、その間に夫と浮気相手の間に夫が認知した子を2人ももうけていること、浮気相手の家が妻の家と近隣であったこと、妻が愛人や隠し子がいるなどの風評にも悩まされていたことを挙げています。

慰謝料が低額になるケース

慰謝料が、一般的な金額を下回るケースとして平成4年12月10日東京地裁判決があります。

事案としては、夫が不貞行為をしたにもかかわらず婚姻関係を継続している状態で、妻が浮気相手の女性に対して損害賠償請求をしました。

裁判所は慰謝料として50万円が相当であるとしました。比較的低額の慰謝料にした理由として裁判所は、浮気相手よりも夫の方が、職位が上であり、不貞関係に至ったこと及び継続したことについては夫が主導的な役割を果たしていたこと、妻と夫の婚姻関係において不和が生じ、破綻の危機に至ったことについては、不貞行為がきっかけとなっているものの夫の生来の性格ないし行動に由来していること、夫が不貞行為に至ったことが夫婦間における性格、価値観の相違、生活上の行き違いなどが無関係とは言い切れないこと、妻が夫の不貞に基づく慰謝料支払義務を許していること、訴訟提起によって夫と浮気相手の関係が解消されていること、浮気相手が自ら勤務先を退職して実家に帰り、夫との関係が解消され、かつ相応の社会的制裁を受けていることを挙げています。

過去の対応事例からみる不貞行為による慰謝料請求

当事務所でも不貞行為による慰謝料請求事件について対応実績がございますので、簡単にご紹介させて頂きます。

弊所で対応したケース①

依頼者は、婚姻期間が約1年間で、配偶者に不貞行為をされました。そこで、依頼者は、不貞相手に対して慰謝料を請求するために当事務所に来所し、相談の上、依頼をしてきました。その後、依頼者は精神疾患となり、通院を余儀なくされました。また、依頼者と配偶者は不貞行為をきっかけに離婚について話し合う状態になりました。この事例では、最初の交渉時点では、不貞相手の代理人は30万円の支払いを提示しました。金額が低かったことから、依頼者の意向を踏まえて訴訟を提起したところ、相手方代理人が70万円での支払いに応じるとのことになりました。そのため、相手方が依頼者に70万円を支払う旨の合意書を作成し、訴訟については訴えを取り下げて訴訟は終結しました。

このケースは、訴訟を提起するという本格的な法的手段を取ることによって不貞相手が慰謝料の提示額を増額したものです。交渉時点で、増額が見込まれない場合、適切なタイミングで訴訟を提起することも増額の手段としては重要となります。

弊所で対応したケース②

依頼者は、婚姻期間が約15年で、配偶者の不貞行為を知りました。依頼者と配偶者の間には、小学校低学年の子どもがいました。不貞行為の期間は、約5年間でした。さらに、配偶者と不貞相手の間には配偶者が認知した子どもがいました。その後、依頼者、配偶者及び不貞相手の3人で慰謝料について話し合う場を作りました。すると、不貞相手の代理人から依頼者に不貞行為の慰謝料として50万円を提示してきました。そのため、依頼者は、当事務所に来所し、相談の上、依頼をしてきました。依頼者と配偶者は婚姻関係を継続していました。しかし、不貞期間が長いこと、配偶者と不貞相手の間に配偶者が認知した子どもがいることなどを理由に慰謝料の増額を主張しました。その上で、不貞相手の代理人と粘り強く交渉した結果、110万円以上の慰謝料を獲得することができました。

このケースでは、不貞相手の代理人としては、依頼者と配偶者の婚姻関係が継続していることを理由に慰謝料の提示金額をかなり低額にしてきました。そのため、もし依頼者が弁護士に相談しなければかなり低額であるにもかかわらず、合意してしまっていた可能性があります。しかし、依頼者が当事務所に相談することにしました。そして、弁護士が様々な事情を依頼者から聴取し、慰謝料の増額事由となる事実を収集しました。その上で、不貞相手の代理人に対して増額事由となる事実を主張し、粘り強く慰謝料の増額を求めました。その結果、当初の金額の倍以上の慰謝料の支払いを不貞相手がするという内容で決着が着きました。

弊所で対応したケース③

不貞慰謝料を請求されてしまったケースの事例もございます。既婚者である依頼者は、同じ職場の既婚者Aさんと連絡を取り合っていました。そして、Aさんは自分の配偶者であるB氏のモラハラで離婚したがっていました。依頼者も当時、配偶者との関係があまり上手くいっていませんでした。そのため、メッセージのやりとりの中でお互い家庭が上手くいっていないから男女の関係になってみたい旨の発言をしてしまいました。そのメッセージの内容を見たB氏がAさんと依頼者が不倫した、と勘違いして依頼者に対して訴訟を提起する旨の発言をしてきました。依頼者としては、大ごとにされると困ると思い、当事務所に来所し、相談した上で、依頼をしてきました。弁護士は、連絡窓口として長期間に渡って依頼者の代わりにB氏の交渉相手となりました。結局、B氏は不倫の証拠が手元になかったため、慰謝料を請求することを諦めました

このケースでは、依頼者が弁護士に依頼したことによって、大ごとにしたくないことを理由に不倫をしていないにもかかわらず、慰謝料を支払ってしまったり、無理な要求をしてくる相手の対応を自身がすることによって精神的に疲れてしまったりすることを回避できたケースであるといえます。

不貞行為による慰謝料請求は西村総合法律事務所にご相談ください

不貞行為による慰謝料請求については、慰謝料を請求する側でも慰謝料を請求されてしまった側でも交渉の時点で弁護士を入れることによって訴訟を提起されることを防いだり、訴訟前の交渉において妥当な金額で解決したりすることができます。そのため、不貞行為による慰謝料請求の初動については、当事務所を含めて是非一度法律事務所への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

           

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