離婚後の生活とお金について!生活費や住まいのポイントを弁護士が解説
「今まで専業主婦(夫)だったので離婚後の生活が心配」
「どのような生活保護制度があるのかわからない…」
離婚後の生計をどう立てていくかというのは大きな問題です。
いざ離婚を決意したら,離婚後の生活の見通しをしっかり立て,綿密な計画を練ることが重要です。特に,女性の場合には,離婚後の生活について経済的な不安を持たれている方も多いと思います。
その場の勢いにまかせて後先考えずに離婚してしまうと,結婚後の生活が立ちいかなくなってしまうおそれがあります。
離婚後の生活を明るく安定したものにするためにも,離婚前にしっかりと離婚後の生活の目途を立ておくようにしましょう。
そこで,今回は,離婚後の生活を考えるうえで特に重要な事項について説明させていただきます。
目次
住む場所の確保
離婚すると夫婦のうちのどちらかが現在住んでいる家を出て,新しい住居を探すことになります。そのため,離婚後に住む場所をどうするかが最初に問題となります。
離婚後現在の住居を出て新しく生活をスタートさせる場合,頼れる実家があるのならば,甘えさせてもらいましょう。多少居づらくとも経済的にも様々な支援が期待できますし,子どもの面倒をみてもらえるというメリットも大きいです。
離婚手続きで何かと忙しく新しい家のことまで手が回らないこともあるでしょうから,離婚問題が解決してひと段落するまでの間だけ一時的に実家に住まわせてもらうか,実家がない場合にはウィークリーマンションを一時的な住まいとして借りて,落ち着いてから改めて新居を探すという方法もあります。
賃貸住宅に住み続ける場合
妻が夫名義の賃貸住宅へ住み続ける場合は,家主と契約書を作り直し、妻名義に変える手続きが必要です。
もし,賃貸の場合で,離婚後の生活収支に見合わないような家賃の高い物件に住み続ける場合には,新しい家に引っ越して経済的負担を抑えることも検討しましょう。
離婚前から暮らしている家を離れると気分も一新できるため,一から再スタートを切るという意味でも,思いきって引っ越すメリットはあるでしょう。
自宅に住み続ける場合
財産分与としてこれまで住んでいたマイホームを譲り受ける場合は,不動産の名義人が誰になっているか必ず確認しなければなりません。不動産を譲り受ける側に名義変更をする場合には,必ず不動産の権利変動を登記までしておきましょう。また,名義変更の手続きには費用がかかるため,登記費用をどちらが負担するかの取り決めも書面でしておくと,後々トラブルになりにくいでしょう。
他方,マイホームにローンが残っている場合であれば,諸事情を考慮して不動産をどうするべきかを考えなければなりません。一般的には,ローンが残っているマイホームは財産分与が難しく,離婚時の負担になることが多いため,離婚が決まった時点で売却してローン残額を整理してしまうことが多いですが,事案や依頼者の希望ごとに最適な解決策は異なります。
検討すべき事項が多くなりますので,後々法的トラブルなくマイホームに引き続き住み続けたい場合には,法律の専門家である弁護士にご相談されることをお奨めします。
生活費の確保
慰謝料・財産分与・養育費
養育費,財産分与,慰謝料のうち,正当に認められ得る金額をきちんと把握しておくことが大事です。
養育費は夫婦双方の収入額,財産分与は別居時点での双方の財産総額,慰謝料は不貞や暴力の事実に関する証拠が,それぞれ算定にあたって非常に重要となります。
もっとも,これらの金額を自力で計算することは容易ではないでしょうし,交渉次第では,(元)配偶者からより多くの金額を支払ってもらえる可能性もあります。
取り決め後に相手がお金を支払わなかった場合に備えておくためにも,正確な法的知識と交渉力のある弁護士にご相談されることをお奨めします。
各種公的支援制度の活用
離婚すると,婚姻中よりも所得が下がることが多いです。特に,離婚して母子家庭になった場合,経済的に苦しい状況に陥ることが依然として多いのが現状です。
国や自治体では,母子(父子)家庭が受けられる公的援助を設けています。
主な母子(父子)家庭向けの手当てや支援制度には,次のようなものがあります。
・児童扶養手当
・母子福祉資金
・単身家庭に対する医療費補助制度
・母子生活支援施設への入居,公営住宅への入居の優遇
・職業訓練手当,母子家庭自立支援給付金事業
・単身家庭ホームヘルパー派遣制度
・税の減免
公的援助は、市区町村によって異なります。
必ずご本人自身がお住まいの市区町村役場の窓口などに問い合わせをして受給資格要件や申請手続を確認したうえで,有効に活用するようにして下さい。
仕事の確保
離婚後は自分一人の手で生計費を賄うのが基本です。女性にとって離婚後の生活がうまくいくかどうかは,経済的な自立ができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
共働きで仕事がある人は引き続き仕事を続けることができますが,専業主婦などで働いていなかった方は,まずは仕事先を見つけることが最優先です。
仕事探しは簡単ではありませんが,貯金や慰謝料で食いつなぎながらハローワークなどを利用して仕事探しに励みましょう。母子家庭やシングルマザーを対象にした就職支援サービス(マザーズハローワークやマザーズコーナー)もありますから,利用できる公的支援は最大限活用するようにしましょう。
子供の問題
子どもがいる夫婦が離婚する場合,子どものケアも重要な課題の一つです。離婚することが必ずしも子どもを不幸にする訳ではありませんが,離婚による環境の変化が子どものメンタル面に大きな影響を与えることは否定しがたいでしょう。
離婚してしばらくはあなた自身も忙しく大変な時期だと思いますが,そんな時だからこそ,子どもと積極的にコミュニケーションをとり,子どもが新生活に早く馴染めるよう心配りをして下さい。
子どもの預け先もしっかり確認しておきましょう。子どもが小さいうちは保育園や託児施設が近所にないと就職活動や仕事が立ち行かなくなってしまう可能性もありますから,住む場所についても,子どもの利益を第一に優先して決めるようにしましょう。
離婚が成立してからが本当のスタート
離婚後の生活についてしっかりとプランを立てないまま離婚に踏み切り,離婚したことを後悔してしまわないためにも,周到に準備をしてから動き出すようにしましょう。
やるべきことを明確にして一つ一つクリアしていくことが,離婚後の生活に対する不安を払拭することにつながりますし,離婚後「まさか」「こんなはずではなかった」と想定外の事態が起きるリスクを極力減らすことにもつながります。
しっかり準備と覚悟をして離婚に臨むようにしましょう。
当事務所では,依頼者にご納得いただけるように離婚を成立させることはもちろんのこと,離婚後の生活における手続サポートもさせていただいております。
是非一度,当事務所にご相談ください。
監修者: 弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡 [経歴] 東京大学卒業 第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録 [ご相談者の皆様へ] 離婚のご相談は,皆様にとって人生の岐路となる重大な問題です。数多くの離婚問題を解決してきた経験をもとに,皆さまにとって最善の方法を提案させていただきます。 |
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