調停離婚

 

 

調停離婚(離婚調停)とは

調停離婚(離婚調停)は,相手が離婚に応じず協議離婚の成立が困難な場合や,離婚の合意はあるものの,離婚の内容(親権,財産分与等)に納得ができず離婚協議が成立しない場合に行われます。

夫婦の一方が申立人となり,裁判所に間に入ってもらって,離婚するかどうかや,その条件を話し合っていく手続きになります。

離婚調停の正式名は夫婦関係調整調停といい,家庭裁判所の調停(家事調停)の一つになります。

 

協議離婚との違い

離婚調停前の夫婦間の協議も,離婚調停も,話し合いが基本になります。

 

最終的に夫婦双方について離婚の合意(離婚条件を含む。)が得られなければ離婚することはできないという点では,調停離婚と協議離婚は共通しています。

他方で,離婚調停では,中立な第三者である裁判所の裁判官・調停委員が間に入り,自分が直接相手方と話し合いをすることはなくなるという点で,当事者同士や親族間を交えての話し合いとは大きく異なります。

 

第三者が間に入ることになるため,良くも悪くも,協議離婚の場合と比較して,「裁判所が判断する相場」からかけ離れた要求は通りにくくなるといえるでしょう。

 

離婚調停の流れ

離婚調停を開く場合,当事者間の話し合いは密室で行なわれますので,話し合いの内容が外部に漏れることもありません。また調停は,基本的には月に1回程度のペースで開催されますが,多くのケースでは,数ヶ月,長いと1年以上調停をすることもあります。

 

離婚調停期日は,通常,次の流れで進みます。

①離婚調停の受付

②調停が始まるまで控え室で待機

③申立人と相手方が交替で調停室に入る

④調停員から交替で事情を聴かれ,両者の合意が得られる事項については合意をしていく

⑤次回の離婚調停期日の決定

 

話し合い成立の見込みが無い場合は調停不成立となりますし,申立人側は調停を取下げることも可能です。

 

離婚調停はあくまでも調停委員を媒介とした当事者間での話し合いであるため,調停委員を味方につけ,自分にとって有利な方向になるよう調停委員に相手方を説得してもらうことも戦略として重要となってきます。

調停委員からよく聞かれる質問内容などについても記載しているため,是非こちらの記事も参考にして下さい。

 

⇒離婚調停の流れと注意点について,詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

 

離婚調停の申立てを検討されている方へ

離婚調停を申し立てるタイミング

協議離婚よりも離婚調停を申し立てるほうがより適当と判断できるときが,離婚調停を申し立てるべきタイミングとなります。

具体的には,以下のような場合には,離婚協議よりも離婚調停に移行したほうが一般的に良いといえます。

 

①相手と直接離婚の話し合いができない、又は、相手が離婚に強く反対している

・感情的になり,冷静になってお互いの条件などを話し合うことができない

・暴力や暴言を受ける恐怖から,相手に離婚を切り出すことができない

・離婚したいことを伝えたにもかかわらず,その話についてうやむやにされる

このような場合には,離婚協議が停滞してしまいがちになります。

 

②相手と別居をしているが、婚姻費用が支払われていない

婚姻費用とは,一般的には「生活費」と呼ばれる,夫婦の共同生活を維持するためにかかる一切の費用をいいます。具体的には、衣食住にかかる費用、交際費、医療費、子供の養育費等のことを指します。

離婚が決着するまで,一般的に,収入の少ない側から収入の多い側に対し,婚姻費用の支払いを請求することができます。

 

当事者間での協議によって婚姻費用の支払いの合意ができない場合や,相手が任意に婚姻費用を支払わない場合には.家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることができます。さらに,調停でも相手が婚姻費用の支払いに応じない場合は,裁判所が婚姻費用の支払いを命じる審判を出すことになります。

 

別居後,相手から婚姻費用を受け取っておらず,婚姻費用分担調停の申立ても行っていないという方は,少しでも多くの婚姻費用を確保するために,速やかに調停の申立て手続きを行うことをお奨めします。現在の岡山における裁判所の実務では,申立てた月から婚姻費用が認められることになるので注意が必要です

 

③親権に争いがあり、相手に子供を連れ去られる可能性がある

離婚後は,夫婦のいずれか一方のみが未成年の子どもの親権者になります。また,未成年の子どもの親権者をどちらにするか決めない限りは,離婚をすることができません。

そのため,夫婦双方が子どもの親権を主張して譲らない場合には,協議が停滞してしまうことになります。

 

このような場合,離婚調停に移行すれば,両親のうちのどちらが親権者として適切かを判断するために,家庭裁判所調査官が調査を行うことができます。その結果,親権の争いが収束し,離婚の協議をスムーズにまとめることができるようになります。

さらに,調停の申立てにより裁判所が協議に関与するため,相手が子どもを連れ去るおそれがある場合にも,相手の自分本位な行動を可能な限り減らすという観点から,離婚調停の申立てをすることをお奨めします。

 

④相手の財産がわからない、相手が財産開示に応じてくれない

当事者間の協議では,相手が財産開示に応じない場合,相手の財産の内容を知る方法はありません。

他方で,調停手続では,調停委員から両当事者に対し,財産の開示を要求することができるため,相手が任意に財産を開示する可能性が高くなります。また,調停手続では,調査嘱託といって,裁判所を通じて情報を開示させることもできます

 

相手の財産を把握することは,適正な慰謝料額,養育費,財産分与の額を受け取るために必要不可欠な情報です。

したがって,このような場合にも,離婚調停を申し立てることをお奨めします。

 

別居の時期

離婚調停において,現在の同居・別居による有利・不利はありません。離婚調停を行う際には,同居よりも別居のほうが,どちらかというと早く終わりやすいと言われています。もっとも,調停に先立って別居しておかなければならないということはなく,実際に同居しながら離婚調停をするケースもあります。

ただ,離婚したい相手と一緒に暮らすのは通常苦痛でしょうから,実際のケースでは,離婚調停に先立って,別居する方が多くなっているといえます。

 

夫婦には同居義務がある以上,別居の理由は離婚調停において大きな意味を持ちます。また,別居開始時の状況が子どもの親権者の決定にあたって大きく影響する場合もあります。

このように,離婚調停中に別居したほうが有利な場合と不利な場合があり,これはご自身の状況によって異なります

離婚調停中に別居するべきか同居するべきかについては,個別具体的状況に応じた慎重な判断が必要となるため,岡山地域にお住まいの方で別居を検討されている方は,まずは弁護士に相談されることをお奨めします。

 

離婚調停を申し立てられた方へ

調停を申し立てられた側は,ある日突然家庭裁判所から書類(申立書,呼出状等)を受け取り,調停の第1回期日に裁判所に出頭することを求められます。ある日突然,裁判所から書類が届き,慌ててしまう方もいらっしゃるでしょう。

 

離婚調停の第1回期日は,調停を申し立てられた側の意見を聞いた上で決められるのではなく,裁判所から書類が届いた段階で既に特定の日時に決まっています。申し立てられた側の事情で変更されることは,基本的にありません。

また,裁判所からの書類を受け取った日から第1回期日までの期間が,3週間~1ヶ月足らずしかないこともよくあります。

離婚調停を申し立てられた側は,裁判所からの調停の呼び出し状を見ただけで取り乱してしまい,第1回期日に向けた準備を落ち着いて行うことができなくなるケースは少なくありません。

しかし,そのような状態で,十分な準備も整わないまま調停期日に臨んでしまうと,自己に不利な状況のまま調停手続きが進行してしまうリスクが高くなってしまいます

 

離婚調停の当事者として最低限すべきこと

郵送されてくる書類の中には,(ア)調停期日通知書(呼び出し状ともいう)、(イ)申立人が家庭裁判所に提出した離婚調停(夫婦関係調整調停)申立書の写し,(ウ)意見や事情に関する照会書(答弁書又は回答書)などが入っていることが一般的です。

 

したがって,離婚調停の相手方として最低限やらなければならないことは,指定された期限までに照会書の内容に回答し,その上で,指定された期日に家庭裁判所に出向き,調停に出席することです。

いったん冷静になって,自分がすべきことを落ち着いて確認するようにしましょう。

 

調停の呼出しを無視して欠席した場合の不利益

受け取った離婚調停の呼出状を無視することは,絶対にお勧めできません。

もし呼び出しを受けている離婚調停期日に無断欠席し続け,話し合いに応じない場合には,調停は不成立となり終了します。

その場合,欠席した相手方当事者は,次のような(1)法律上の不利益と(2)事実上の不利益を受けることになります。

 

①法律上の不利益

相手方の無断欠席により調停が不成立に終わると,申立人は,直ちに離婚訴訟を提起することができるようになります。つまり,本来は離婚について調停と訴訟の2段階で争う機会があるにもかかわらず,そのうちの貴重な1回を失うことになってしまいます。

 

調停に出席して冷静に協議・交渉を行えば,柔軟な離婚条件での早期解決を図ったり,想定以上の大きな譲歩を相手方から引き出すことができたりする場合もあります

しかし,離婚訴訟になると、そのような解決方法を目指すことが難しくなってしまいます。

 

②事実上の不利益

第1回期日で不成立とならない場合でも,呼出状を無視し,正当な理由もなく離婚調停に出席しないという態度を繰り返すと,裁判官や調停委員から,離婚という人生の節目の大切な話し合いに真摯に向き合わない不誠実な人,ルールを無視する自己中心的な人といったネガティブな評価をされかねません。

そうなると,調停を有利に進めることが難しくなってしまいます。

また,離婚調停が不成立となり離婚訴訟に移行した場合には,相手方が呼び出しを無視し続けて調停不成立に終わらせたという事実が証拠として残るため,離婚訴訟においても不利益が生じてしまいます。

 

調停離婚を弁護士に依頼するメリット

期日までの限られた時間で,迅速な準備を可能に

調停を申し立てられた場合,期日までの時間的余裕がない場合が多く,すぐに調停への対応を迫られます。

弁護士は,相談者固有の事情を聴取したうえで,離婚調停の内容や手続を相談者にわかりやすく説明し,また,相談者がその時に置かれている状況を説明します。その上で,個々の相談者の立場を踏まえた上で,最適なアドバイスを行います。

 

離婚調停は弁護士を付けずに当事者のみで行うこともできますが,弁護士のアドバイスは,正確であることはもちろんのこと,時間の節約にもなります。

 

調停委員を説得する高い交渉力

離婚調停を有利に進めるためには,交渉力が極めて重要になってきます。

 

調停は話し合いであり,中立的な立場の調停委員が間に入ってくれるため,裁判所が客観的に適正な解決に導いてくれるというイメージを持たれている方もいるかもしれません。

しかし,調停委員は,話合いを仲介しているだけですので,どちらにも肩入れをすることはありません。

あなたの希望する条件での解決をめざすのであれば,まずは,調停委員に,あなたの主張を正しく理解してもらい,共感してもらえるように話すことが必要です。そのためには,調停委員を説得する高い交渉力が必要になります。

また,各期日において,臨機応変に相手方の主張や調停委員からの質問に適宜対処することも必要となります。

交渉力で劣る場合や,劣っていなくてもより有利に交渉を進めたい場合には,交渉のプロである弁護士に依頼して,交渉力を補うことが非常に重要です

 

自己に不利益な内容の合意を防ぐ

いったん離婚条件(調停条項)に同意して離婚調停が成立すると,調停調書には確定判決と同じ効力が生じ,後からその条件を変えることはできなくなります。

 

弁護士に依頼することで,条件(調停条項)の意味が分からないまま自己に不利益な内容の同意をしてしまうことを防ぎ,取り返しのつかない失敗をすることを回避することができます。

さらに,離婚調停の段階から弁護士に依頼しておくことで,万が一離婚調停不成立となった場合にも,迅速に離婚裁判に移行することができます

 

早期の相談がカギ

離婚調停の依頼を受けた場合,代理人である弁護士は,依頼者が最大限の利益を得られるように,最終的な着地点を見据えつつ適切な方針を立てます。

 

本人が弁護士に相談するよりも先に,裁判所から届く回答書・照会書に漫然と回答してしまうと,後々の主張と整合性が取れない状態に陥ることや,相手に有利な回答をしてしまうこともあり,結果的に,調停において不利な交渉を強いられるおそれがあります。

そのような事態を回避するためにも,弁護士に相談するのであれば,できるだけ早い段階,可能であれば,裁判所からの調停期日呼出状を受け取った直後の,裁判所に何も書類等を提出していない段階で行うことが最も望ましいです

 

離婚調停成立後に必要な手続き

離婚調停における裁判所の役割は,離婚調停成立の調停調書を作ることです。

そのため,調停調書に記載された内容に基づき,当事者は必要な手続きを各自で行うことになります。

それぞれの手続きには期限がありますので,注意する必要があります。

 

離婚調停が成立した後に必要な手続きについては,こちらのページで詳しく説明しています。是非ご覧になり,参考にしていただけたらと思います。

 

当事務所の代表的な解決事例

⇒財産分与にて退職金を考慮したうえで調停離婚を成立させた事例

 

 

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