離婚を切り出す前に考えるべきお金のこと4選!離婚にかかるお金や離婚後の補助金・助成金についても解説【弁護士監修】
離婚とお金の問題は、切り離すことができないほど密接しています。離婚とは、言い換えれば新しい生活をはじめるための第一歩です。お金が必要になってくるのは言うまでもありません。現実には、お金が心配で離婚できないという方もたくさんいらっしゃいます。
では、離婚するとなった場合、実際にはどの程度のお金が必要になるのでしょうか?
この記事では、離婚を検討する際、必ず知っておきたいお金のことについて説明します。
目次
離婚を切り出す前(検討段階)で事前に考えておくべきお金のこと4選
離婚を検討し、意思がしっかりと固まったら、次は相手に離婚したい旨を告げることも重要ではありますが、その前に以下の3点について必ず確認しましょう。
- 離婚後の生活の安定性/収支の問題
- 親権に関する対応
- 離婚の申出をした場合の今後の対応
離婚後の生活の安定性/収支の問題
離婚するとなれば、相手の収入に頼るわけにはいかなくなります。離婚後の生活の安定、そして収支の問題については必ず確認しておきましょう。
離婚後、どういった方法で収入を得るのか、その収入はどの程度が見込めるのか、生活する上でどの程度の支出があるのか、その結果、生活は安定するのか、といった点については、少なくとも実際に数字にして確認してみることを強くおすすめします。
住む場所の確保
離婚すると夫婦のうちのどちらかが現在住んでいる家を出て,新しい住居を探すことになります。そのため,離婚後に住む場所をどうするかが最初に問題となります。
離婚後現在の住居を出て新しく生活をスタートさせる場合,頼れる実家があるのならば,甘えさせてもらいましょう。多少居づらくとも経済的にも様々な支援が期待できますし,子どもの面倒をみてもらえるというメリットも大きいです。
離婚手続きで何かと忙しく新しい家のことまで手が回らないこともあるでしょうから,離婚問題が解決してひと段落するまでの間だけ一時的に実家に住まわせてもらうか,実家がない場合にはウィークリーマンションを一時的な住まいとして借りて,落ち着いてから改めて新居を探すという方法もあります。
賃貸住宅に住み続ける場合
妻が夫名義の賃貸住宅へ住み続ける場合は,家主と契約書を作り直し、妻名義に変える手続きが必要です。
もし,賃貸の場合で,離婚後の生活収支に見合わないような家賃の高い物件に住み続ける場合には,新しい家に引っ越して経済的負担を抑えることも検討しましょう。
離婚前から暮らしている家を離れると気分も一新できるため,一から再スタートを切るという意味でも,思いきって引っ越すメリットはあるでしょう。
自宅に住み続ける場合
財産分与としてこれまで住んでいたマイホームを譲り受ける場合は,不動産の名義人が誰になっているか必ず確認しなければなりません。不動産を譲り受ける側に名義変更をする場合には,必ず不動産の権利変動を登記までしておきましょう。また,名義変更の手続きには費用がかかるため,登記費用をどちらが負担するかの取り決めも書面でしておくと,後々トラブルになりにくいでしょう。
他方,マイホームにローンが残っている場合であれば,諸事情を考慮して不動産をどうするべきかを考えなければなりません。一般的には,ローンが残っているマイホームは財産分与が難しく,離婚時の負担になることが多いため,離婚が決まった時点で売却してローン残額を整理してしまうことが多いですが,事案や依頼者の希望ごとに最適な解決策は異なります。
検討すべき事項が多くなりますので,後々法的トラブルなくマイホームに引き続き住み続けたい場合には,法律の専門家である弁護士にご相談されることをお奨めします。
親権に関する対応
子どもがいる夫婦が離婚する場合、必ず親権者を指定しなければなりません。自らが子どもの親権者となるのか、相手が親権を主張する可能性はあるか等について検討しましょう。
なお、子どもが15歳以上の場合、原則的には子どもの意思が優先されることになっています。事前に子ども自身の意思についても確認しておくようにしましょう。
離婚の切り出した後の想定
相手に離婚の申出をした場合、素直に応じてくれるのであれば、協議離婚成立となります。しかし、相手が離婚に応じない場合、さらに話し合いを重ねるか、調停を申し立てるかの2択となります。また、離婚調停中に同居するのは、いらぬ揉め事を引き起こすきっかけにもなりかねないため、調停申立前後での別居が好ましいです。
とはいえ、調停の利用は時間も手間もかかってしまうため、話し合いがスムーズにいかない場合は、弁護士への相談も視野に入れてみるのが良いでしょう。
離婚の準備に費用な費用
では次に、離婚の準備にはどの程度の費用が必要になるかも説明していきます。
具体的には、以下の3点について確認しておくと良いでしょう。
- 離婚手続きにかかる費用
- 離婚後の生活の安定が保てる資金
- 離婚自体で費用の発生の可能性があること
離婚手続きにかかる費用
離婚そのものにお金がかかることはありません。
離婚届はお近くの市区町村役場の市民課にて入手することができます。その他にも、市区町村役場のホームページからダウンロードし、印刷・記入して提出する方法もあります。
離婚後の生活の安定が保てる資金
離婚後の生活について、どの程度の資金があれば安定と言えるのでしょうか?
住居費用と引越費用、当面の生活費、子どもにかかる費用について詳しく説明します。
なお、離婚後すぐの生活については、財産分与を頼りにしすぎるのはあまりおすすめできません。相手が素直に応じてくれればもちろん問題はありませんが、調停や裁判に発展した場合、半年程度、長いと1年ほどは手続きに拘束されることになります。こうした点からも、直近の生活資金については、財産分与に頼らず用意しておくのが理想的です。
用意するのが難しい場合は、別途「婚姻費用の分担請求調停」の申し立てを検討しましょう。婚姻費用とは、別居中にかかる生活など、婚姻生活を維持するために必要な費用のことです。離婚成立前であれば、たとえ離婚調停中であっても請求する権利があります。
住居費用と引越費用
離婚後、実家に帰る場合はそれほど住居費用で心配する必要はなさそうですが、賃貸住宅を借りる場合などは敷金・礼金、保証金、仲介手数料に先払い分の家賃、家具・家電の購入等、資金的には数十万円を準備しておく必要があります。引っ越し費用としても、業者に依頼するほどの荷物があれば、2~5万円程度はかかると見込んでおきましょう。
当面の生活費
当面の生活費については、すぐに収入を得る手段があれば、そこまで敏感になる必要はありません。しかし、そうでない場合は、最低でも3ヶ月分、可能であれば半年分程度の資金は手元に残しておくのが理想です。
子供にかかる費用
小さなお子さんがいらっしゃる場合は、保育園代等についても検討しなければなりません。特に、収入確保のために自身が働きにでなければならない場合、保育園に頼らざるを得ません。小学生・中学生の場合であっても、転校に際して制服代や教科書代が必要になってきますので、子どもにかかる費用については事前に確認し、しっかり準備しましょう。
離婚自体で費用の発生可能性があること
離婚に関連して発生の可能性がある費用としては、離婚調停・離婚訴訟の費用に加え、離婚公正証書を作成する場合の公証役場の手数料について見ていきましょう。
離婚調停・離婚訴訟への発展
離婚調停を申し立てるのであれば、申立費用がかかります。といっても、必要なのは収入印紙が1200円分、連絡用の郵便切手が数千円分とそれほどかかる心配はありません。
ただし、離婚訴訟へと発展した場合、収入印紙は13000円に加え、離婚だけでなく、養育費や財産分与、面会交流権について求める場合は、1つ追加ごとに1200円が追加されます。その他、郵便切手代が6000円ほどかかってきます。
公証役場を利用する場合
離婚に際して公証役場で離婚公正証書を作成する場合は、5000円~数万円の手数料が取られることになります。具体的な金額は、財産分与の総額など、公正証書の中身によって変わってくるため、心配な方は事前に公証役場に確認してから作成するのが良いでしょう。
生活費の確保
慰謝料・財産分与・養育費
養育費,財産分与,慰謝料のうち,正当に認められ得る金額をきちんと把握しておくことが大事です。
養育費は夫婦双方の収入額,財産分与は別居時点での双方の財産総額,慰謝料は不貞や暴力の事実に関する証拠が,それぞれ算定にあたって非常に重要となります。
もっとも,これらの金額を自力で計算することは容易ではないでしょうし,交渉次第では,(元)配偶者からより多くの金額を支払ってもらえる可能性もあります。
取り決め後に相手がお金を支払わなかった場合に備えておくためにも,正確な法的知識と交渉力のある弁護士にご相談されることをお奨めします。
仕事の確保
離婚後は自分一人の手で生計費を賄うのが基本です。女性にとって離婚後の生活がうまくいくかどうかは,経済的な自立ができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
共働きで仕事がある人は引き続き仕事を続けることができますが,専業主婦などで働いていなかった方は,まずは仕事先を見つけることが最優先です。
仕事探しは簡単ではありませんが,貯金や慰謝料で食いつなぎながらハローワークなどを利用して仕事探しに励みましょう。母子家庭やシングルマザーを対象にした就職支援サービス(マザーズハローワークやマザーズコーナー)もありますから,利用できる公的支援は最大限活用するようにしましょう。
各種公的支援制度の活用
離婚すると,婚姻中よりも所得が下がることが多いです。特に,離婚して母子家庭になった場合,経済的に苦しい状況に陥ることが依然として多いのが現状です。
国や自治体では,母子(父子)家庭が受けられる公的援助を設けています。
主な母子(父子)家庭向けの手当てや支援制度には,次のようなものがあります。
・児童扶養手当
・母子福祉資金
・単身家庭に対する医療費補助制度
・母子生活支援施設への入居,公営住宅への入居の優遇
・職業訓練手当,母子家庭自立支援給付金事業
・単身家庭ホームヘルパー派遣制度
・税の減免
公的援助は、市区町村によって異なります。
必ずご本人自身がお住まいの市区町村役場の窓口などに問い合わせをして受給資格要件や申請手続を確認したうえで,有効に活用するようにして下さい。
離婚後に受けられる可能性がある助成金などについて
これまで離婚の際に出ていく資金ばかり見てきましたが、離婚後に受けられる可能性がある助成金などについても説明していきます。
母子家庭
母子家庭の場合は、児童手当、児童扶養手当、児童育成手当、特別児童扶養手当、母子家庭等の住宅手当、ひとり親家庭等医療費助成制度、等があります。
いずれも自治体によって名称や内容が若干異なるため、詳細については自身が住所地を置いている市区町村役場に確認してみるのが良いでしょう。
税金等の免除
税金等の免除としては、国民年金保険料・国民健康保険税が対象になる場合があります。国民健康保険については、収入に応じて自動的に減免されますが、国民年金については保険料の負担が厳しい旨を申告し、審査に通ってはじめて減免されることになります。
次に、こちらは母子家庭の場合ですが、「寡婦控除」として所得税と住民税が軽減されることになっています。ただし、寡婦控除を受けるには、年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を提出しなければなりません。詳しくは、勤務先に確認してみるのが良いでしょう。また、個人事業主の場合は、確定申告の際に必要事項を記入して税務署に提出することで寡婦控除を受けることができます。
離婚手続きは弁護士法人西村綜合法律事務所へ
離婚に必要なお金について見てきましたが、想像以上にお金が必要だと感じた方が多かったのではないでしょうか。相手との離婚を決めた以上、1日でも早く離婚したいと感じるのも無理はありませんが、いったん冷静になり、まずお金の問題を解決していきましょう。
なにから着手して良いのかわからない方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。当事務所であれば、初回相談は無料となっています。30分から1時間程度を目安としておりますが、ご状況に応じて最後まで丁寧にお話を伺わせていただきます。今後の行動の指針について、一緒に考えていきましょう。
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