婚姻費用の支払いがきつい・・・減額の方法と認められやすいケースについて【弁護士監修】 | 離婚に強い岡山の弁護士なら西村綜合法律事務所

婚姻費用の支払いがきつい・・・減額の方法と認められやすいケースについて【弁護士監修】

この記事では、婚姻費用の減額が認められやすいケース、認められにくいケースについて解説しています。

具体的にどのような状況で減額が認められやすいのか、また逆にどのような場合は減額が難しいのか、減額請求を行う際の手続きや注意点などについて解説しています。

目次

婚姻費用とは?

別居中も生活費の支払い義務がある

婚姻費用とは、夫婦が別居している場合でも、婚姻関係が続いている限り、収入の高い配偶者がもう一方の配偶者や子どもの生活費を負担する義務のことを指します。

これは民法で定められた扶養義務に基づくものであり、収入の差がある夫婦間で特に問題となります。たとえ感情的に離婚を決意していても、法的に婚姻関係が解消されていなければ、婚姻費用の支払い義務は発生します。

婚姻費用の金額はどのように決まる?

婚姻費用の算定は、裁判所が公表している「算定表」を基準に、当事者双方の年収、子どもの人数や年齢などを踏まえて決まります。

たとえば、年収が700万円の夫と、専業主婦の妻の間に小学生の子どもが1人いる場合、一定の婚姻費用が算出されます。この算定表はあくまで目安であり、特殊事情がある場合は修正されることもあります。

婚姻費用の減額が認められるケース

相手方の収入が上がった(再就職・昇給など)

別居後、相手方が再就職したり、収入が増加した場合、婚姻費用の再調整を求めることが可能です。

たとえば、以前は無収入だった配偶者が正社員としてフルタイム勤務を始めたような場合、扶養の必要性が減るため、減額が認められる可能性が高まります。

支払義務者の収入が大幅に下がった

リストラ・病気・災害など、やむを得ない理由による場合も少なくありません。

支払義務者の収入が、会社都合の退職や長期療養によって大きく減少した場合、減額請求が認められる可能性があります。

これに該当するには、一時的な減収ではなく、継続的な影響が見込まれることを証明する必要があります。

別居後、支出が大幅に増えた(家賃・医療費・介護費など)

別居により家賃負担が発生した、介護が必要な家族の支出が増えた等、合理的な生活費の増加がある場合も、減額の考慮対象となります。これらは領収書などで支出の実態を証明することが必要です。

相手方が子どもを引き取っていないのに養育費も請求している

婚姻費用と養育費を同時に請求されている場合、実際には子どもを育てていない状況であれば、二重請求のような状態となり、減額を主張しやすくなります。

相手方が婚姻費用を浪費している(ホスト通い・ギャンブル等)

婚姻費用の使途が浪費的であると認められる場合、その一部または全部の支払いについて見直しを求めることができます。これは、家庭の維持を目的とした婚姻費用の趣旨に反するためです。

婚姻費用の減額が難しいケース

単なる収入減(転職・勤務時間調整など)では認められにくい

収入の減少が本人の意思による転職や労働時間の調整に過ぎない場合、裁判所は「自己責任」と判断し、減額を認めない傾向があります。

自己都合で退職・収入を減らした場合は不利になる

たとえば、希望退職や自営業への転身など、自らの判断で収入を減らした場合も、婚姻費用の支払義務を免れる根拠にはなりません。

再婚したが扶養義務者がいない、または生活が安定している

再婚していても、扶養義務のある新たな家族がいない場合や、生活が安定していると判断される場合には、支払い義務の見直しは難しいとされています。

相手方に扶養すべき子どもがいる

別居中の配偶者が未成年の子どもを育てている場合、婚姻費用の減額は慎重に判断されます。子どもの福祉が優先されるため、支払義務者の事情だけでは減額は難しいケースが多くなります。

婚姻費用の減額を請求する手続きと注意点

まずは家庭裁判所への申立てが必要です

婚姻費用の減額を求めるには、家庭裁判所に「婚姻費用分担変更申立書」を提出する必要があります。話し合いで解決できなければ、調停手続に進むことになります。

事後的に支払額を変更しても、減額は「合意」または「調停」でしか効力がない

当事者間で口頭のやり取りをしても、正式な合意や調停がなければ、減額の効力は生じません。一方的に支払いを減額・停止すると、後に滞納として請求されるリスクがあります。

証拠書類の準備が重要(源泉徴収票・賃貸契約書・診断書など)

裁判所に事情を理解してもらうためには、収入の減少や支出の増加を裏付ける客観的な証拠が不可欠です。証明資料がない場合、申し立てが却下される可能性もあります。

一方的に支払いを止めると不利な立場になります

支払いを自己判断で止めた場合、悪意のある債務不履行とされ、信頼性を損ねることにつながります。結果として、調停や訴訟で不利な判断が下される可能性があります。

婚姻費用について弁護士に相談するメリット

減額が認められる可能性を法的観点から判断してもらえる

婚姻費用の減額が認められるかどうかは、単なる「収入が減った」「支出が増えた」という主張だけでは判断できません。

たとえば「転職して収入が減った」という事情でも、それが自ら望んで転職した結果であれば、減額は難しいと判断されるケースがほとんどです。

弁護士に相談すれば、ご相談者様の具体的な事情をもとに、どの程度裁判所で考慮されうるのかを明確に説明してもらえます。「これなら申し立てが通りそうだ」「これは主張しても認められにくい」といった線引きを事前に理解しておくことで、無駄な争いや期待外れを避けることができます。

家庭裁判所への申立書作成や交渉も任せられる

家庭裁判所への申立てには、婚姻費用算定表に基づいた請求額の記載、夫婦それぞれの収入を示す資料の添付など、法律に則った形式・内容での書類作成が求められます。

また、相手方とのやりとりで「収入はあるのに出していない」「事情を理解してくれない」といった感情的な対立が起こりやすいのも婚姻費用の特徴です。

弁護士に依頼すれば、これらの書類作成や交渉をすべて一任できますので、ご自身が精神的・時間的に追い詰められる心配もありません。特に、相手に弁護士がついているような場合は、早めの相談が肝心です。

必要な証拠や主張内容を整理し、有利に進めることができる

たとえば「病気で働けなくなった」といった事情であれば、ただ診断書を提出するだけでなく、どの時点から働けない状態なのか、いつまで回復が見込めないのかといった詳細まで主張・立証する必要があります。
また「家賃が高くなってしまった」などの支出増も、ただ家賃の領収書を出すだけでは足りません。「なぜその物件しか選べなかったのか」といった説明が求められるケースもあります。

弁護士が介入すれば、そういった“裁判所に伝わる形”で証拠や主張を整理し、事実関係を明確に伝えるためのサポートを受けることができます。結果として、減額が認められる可能性が高まり、ご相談者様にとって有利な解決が期待できます。

婚姻費用にお悩みの方は西村綜合法律事務所へご相談ください

当事務所は地元岡山に密着し、離婚や婚姻費用に関する多数の相談を受けてきた実績があります。初回相談は無料で対応しており、オンライン面談にも対応可能ですので、遠方にお住まいの方やお仕事でお忙しい方も安心してご利用いただけます。

経験豊富な弁護士が、迅速かつ的確にご相談者様にとって有利な解決へと導きます。婚姻費用に関するお悩みは、ぜひ一度西村綜合法律事務所にご相談ください。

 

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