妻からの婚姻費用分担請求調停が要望通り成立した事例
依頼者:妻
相手方:夫
受任から解決までの期間:約8か月
事案と結果
夫が離婚調停を申立てたため、妻が婚姻費用分担請求調停を申立て、夫に対して婚姻費用の支払いを求めた事案です。
結果としては、夫が申立てた離婚調停は不成立となり、妻が申立てた婚姻費用分担請求調停は、妻側の主張する金額の婚姻費用及び未払分を夫が支払うことで調停が成立しました。
事案の詳細
依頼者である妻は、夫が申し立てた離婚調停への対応や調停外での夫とのやり取り、婚姻費用を求めるにあたり主張すべき事項やその妥当性等について、弁護士の見解を聞くとともにサポートを得たいということで、当所にご相談に来られました。
まず、婚姻費用について、当所弁護士は、夫婦それぞれの収入を算定表にあてはめた上で、夫が負担すべき婚姻費用の支払いを求めました。しかし、夫は、婚姻費用算定の基礎となる夫の収入額について争うとともに、妻が負担すべき支払等を夫において負担していることを理由として婚姻費用は減額されるべきであると主張しました。夫は調停期間中、妻に婚姻費用を支払っていましたが、その金額は、妻側の主張する婚姻費用と比較して大幅に低い金額でした。
当所弁護士は、夫の主張する収入の算定方法に誤りがあると主張するとともに、夫が婚姻費用から控除すべきと主張する諸費用について資料の提出を求めるとともに、その金額の妥当性を精査し、婚姻費用の未払い分と今後支払うべき婚姻費用額を算定のうえ、粘り強く主張しました。
結果、当所弁護士の主張する婚姻費用額で調停が成立し、夫から妻に未払い分の婚姻費用が一括で支払われるとともに、正当な金額での婚姻費用の支払いを受けられることになりました。
離婚調停についても、依頼者である妻の希望どおり不成立となりました。
弁護士からのアドバイス
婚姻費用とは、婚姻生活を維持するために必要な一切の費用をいいます。
夫婦は相互に扶助義務を負っており(民法752条)、婚姻費用についても相互に負担することになりますが、婚姻費用の分担義務の内容としては、被扶養者に自分の生活と同程度の生活を保持させなければならないものとされています。
したがって、通常、収入の多い配偶者から収入の少ない配偶者に対して婚姻費用が支払われることになります。
婚姻費用分担請求は、夫婦間の話し合いがまとまれば、当該合意に基づき支払われることになります。もっとも、夫婦間の関係性が悪い場合、合意を反故にされる恐れがありますし、そもそも、夫婦のみの話し合いで婚姻費用支払いの合意をすることが難しいこともあるかと思います。そのような場合には、家庭裁判所に「調停」の申立てを行い、裁判所が関与する形で話し合いをするのが良いでしょう。調停において当事者間で話し合いが折り合わない場合、裁判所が「審判」をして婚姻費用を取り決めることになります。
また、婚姻費用の支払いの始期は、実務上、婚姻費用分担調停や審判の申立時とされることが多いです。そのため、配偶者が婚姻費用を支払ってくれない可能性があるのであれば、早めに婚姻費用分担請求調停を申し立てておくべきです。
配偶者が支払うべき婚姻費用の額は、夫婦それぞれの収入や、当事者の生活状況等を考慮して算出します。実務上は、基本的に「算定表」に則って算出し、当事者間の公平を害する事情が存する場合に金額の調整をすることが多いです。
このように、婚姻費用の額は算定表を基礎にはしつつも、個別事情により金額が変動し得ますので、ご自身が婚姻費用として相手方にいくら請求できるのか、相手方とどのように交渉したら良いのか、調停でどのような主張をすれば良いのかお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。
当所弁護士は、依頼者の皆様のご希望に沿った結果が得られるよう、親身にサポートして参ります。また、遠方の方等には、ズームによるオンライン相談も承っておりますので、来所いただくことが難しい場合でも、ぜひ一度お問い合わせください。
監修者:弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士 西村啓聡 [経歴] 東京大学卒業 第2東京弁護士会登録、岡山弁護士会登録 [ご相談者の皆様へ] 離婚のご相談は,皆様にとって人生の岐路となる重大な問題です。数多くの離婚問題を解決してきた経験をもとに,皆さまにとって最善の方法を提案させていただきます。 |