岡山の弁護士による離婚・男女問題相談(西村綜合法律事務所)

会社社長の財産分与の注意点

財産分与の対象財産

夫婦の一方が経営者の場合、通常の場合とは異なる特有の問題があるので注意が必要です。

まず、一方当事者が会社社長等の場合、資産を有している場合が多く,財産分与の対象となる財産を正確に特定し、かつ、その財産を適切に評価する必要があります。

特に、会社社長等の場合、

①動産(家財道具,時計,貴金属等)

②有価証券(自社の株式等)

③退職金(将来受け取るもの)

について,注目する必要があります。

動産(家財道具,時計,貴金属等)

一般的には,動産は、通常時価評価額は乏しく、財産分与について、あまり問題とならないことが多いといえます。問題となったとしても、夫婦のどちらが希望の家財道具(例えば、パソコン,テレビ、タンスなど)を手に入れるかということです。

しかし、会社社長等の場合、夫婦の一方が、非常に高価な時計、純金等の貴金属を保有している場合が見られます。それゆえ,動産も高価なものについてはリストアップして財産分与対象財産に含めることが必要です。そして,難しいのはこの動産を適切に評価することです。純金等は算定しやすいといえますが,高級時計や宝石等の評価は専門家に依頼することになります。

有価証券(自社の株式等)

次に問題となるのが,有価証券(株式等)となります。当事者の経営する会社以外の上場会社の有価証券については算定することは容易いことから金融資産として簡単に計上できます。問題は,当事者の経営する会社を含む非上場会社の株式です。つまり,当事者の経営する会社の株式も財産分与の対象となるのです。
例えば、夫が会社の代表者で、妻を役員としている会社の場合、夫だけではなく、妻も株式を保有しているケースが多くあります。このような場合は、夫の株式だけではなく、妻の株式も財産分与の対象となりますので注意が必要です。
この点、同族会社等の非公開会社等は、会社に資産がある場合1株あたりの評価額が高額になることもあります。そして、経営者は株式の大半を保有していることがほとんどであるため、株式だけでも莫大な財産となります。もっとも,原則として財産分与は,結婚時から離婚時までに増加した資産が対象となりますので,会社の株式を先代から引き継いだ場合には,該当しません。また,独身時代に会社を設立した場合も該当しないといえます。

退職金(将来受け取るもの)

また,会社社長は、あくまで役員であり、従業員ではないことから、退職金がないと誤解されている方もいらっしゃいます。
しかし、資金が潤沢な会社の中には、将来、社長が退任するときに退職金を支給するために会社を契約者、社長を被保険者として保険を掛けていることが多く見られます。
経営が順調な会社がこのような形で保険を掛けているのは、節税目的が大きな理由ですが,このような退職金についても財産分与の対象となります。

 

財産分与の割合

原則は2分の1ですが・・・

共働き夫婦の場合に限らず、妻が専業主婦の場合であっても、財産分与の割合は原則として2分の1とされるのが原則です。

この点、会社の経営者で、個人の特殊な能力や努力によって高額の資産形成がなされたような場合にも、相手の要求に応じ、財産の半分を渡さなければならないのかという論点があります。

そもそも、財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して形成・維持してきた共同財産を、離婚を機に精算・分配する特色があります。

したがって、共同財産に対する夫婦の寄与の程度、婚姻中の協力及び扶助の状況、職業、収入その他一切の事情を考慮して定めるべきです。

実際の事例においても、2分の1ルールを適用しなかった事例があります。

夫婦が会社の株式を保有している場合

一方が会社経営者の場合、他方が会社の株式を保有しているケースが多く見られます。

例えば、夫が会社社長で、自社株の70パーセント、妻は30パーセントを保有しているようなケースです。

このような場合、株式をどうするか、財産分与で取り決めておかないと大変なことになります。

すなわち、株式について、取り決めをせずに、協議離婚を成立させた場合、妻は30パーセントの株式を保有したままであり、会社に対して、議決権や配当請求権等を有することになります。

夫としては、離婚したから妻は株主ではないと考えることが多々あります。

しかし、離婚と会社に対する関係は、まったく別なのです。

妻にしても、夫の会社の経営など望んではいないでしょう。

そこで、このような場合は、株式を財産分与の対象として、離婚協議の中で、妻が夫に適切な時価で買い取ってもらうなどを取り決めておくべきです。

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