離婚調停成立後に必要な手続き

離婚すること及び離婚条件の合意ができたら,合意の内容が「調停調書」に調停条項として記載されることになります。

離婚調停における裁判所の役割は,離婚調停成立の調停調書を作ることです。

そのため,調停調書に記載された内容に基づき,当事者は必要な手続きを各自で行うことになります。

それぞれの手続きには期限がありますので,注意する必要があります。

そこで,今回は,離婚調停の成立後にすべき主な手続きについて,説明させていただきます。

離婚届の提出

調停離婚成立の場合と,離婚届の提出をもって離婚する場合

調停成立により離婚手続きが終了する場合には,次の2パターンがあります。

①調停離婚の成立

この場合,「申立人と相手方は,(相手方の申し出により)本日,調停離婚をする。」という合意内容となり,調停成立の瞬間に離婚が成立します。そして,戸籍に離婚の事実を反映させるための報告的意味として,調停届に調停調書を添付して,役所に離婚届を提出します。

 

②離婚届提出による離婚の成立

調停の場で離婚届を作成した上で,申立人または相手方の一方が責任をもって離婚届を役所に提出するという合意内容の調停が成立します。

この場合には,離婚届が役所に提出して受理されたときに離婚が成立します。

この場合には,確実に離婚届を提出することを期待できる一方当事者を,責任者に選ぶことが大切です。相手が離婚届を提出しないという行動に出る可能性もあるからです。

 

①の場合,戸籍には「離婚の調停成立日」との記載がされるため,調停離婚であることが戸籍上明らかになります。したがって,戸籍から調停離婚したことが明らかとならないようにしたい場合には,通常の協議離婚の場合と同じ記載になる,②の方法が採られることがあります

 

必要書類と提出期限

両方(①,②)の場合ともに,離婚調停成立の日から10日が提出期限で,本籍地か届出人の所在地の市町村に届け出ます。

報告的届出(①)の場合にも,市役所に設置してある離婚届に必要事項を記載して提出するという点では協議離婚と同じです。

ただし,この場合は,協議離婚の場合の届出とは異なり,夫婦のうち調停を申し立てた側のみが署名すればよく,相手方の署名や証人は必要ありません。その代わりに,離婚成立の調停調書の謄本を離婚届に添付する必要があります。

 

離婚後の氏と戸籍を決める

婚姻の際に妻が夫の戸籍に入り,氏も夫の氏に変更した場合には,離婚により,女性の氏と戸籍に変動が生じます。日本では婚姻の際に女性が夫の氏に改め,夫の戸籍に入ることが大多数を占めることから,以下では,このパターンを念頭に置いて説明したいと思います。

 

氏について

離婚後の女性の氏は,法律上当然に婚姻前の氏(旧姓)に戻ります(民法767条1項)。

もっとも,婚姻後夫の姓で築いてきた社会的生活への影響等も考慮して,離婚後も婚姻中の氏を使い続けたい場合には,市区町村役場に対して婚姻中の氏を引き続き使用する旨の届出をすることで,離婚後も婚姻中の氏を称することができます

この届出は,離婚届出と同時に又は離婚の日の翌日から3か月以内にする必要があり,また,届出に際して元夫の承諾は不要です(同2項)。

 

戸籍について

離婚後は,原則として,婚姻前の戸籍に戻ることになります。ただし,⑴婚姻前の戸籍が既にない場合,⑵離婚届と同時に婚姻中の姓を称する旨の届け出をした場合,そして⑶離婚届を提出する時に新しい戸籍を作る旨の申し出をした場合(離婚届に新しい本籍を記載することによって申し出を行います)は,自分が筆頭者である新しい戸籍が作られます。

 

姓を決定するには離婚が成立してから3ヶ月の猶予があります。

結婚時の姓を名乗っていた時期が長く職場などに浸透している場合や,姓の変更によって子どもへ影響がある場合等など,状況に応じて慎重に判断するようにしましょう。

なお,期限を過ぎてしまうと変更する際に家庭裁判所の承認が必要になり手続が複雑化します。

 

当事務所は離婚の金銭問題だけではなく、離婚後の生活における手続サポートもさせていただいております。是非一度当事務所にご相談ください。

 

子供の氏と戸籍を決める

女性が離婚した場合とは異なり,両親が離婚しただけでは子どもの氏や戸籍は変更されません。離婚届を出したときには,女性だけが戸籍から抜けることになるからです。

また,親権と氏には関連性がないため,離婚後,自分と親権を持つ子どもの氏や戸籍が異なるという事態が起こり得ます。

子供を自分の戸籍に移したいとしても,離婚届と同時に移すことはできません。

自分と子どもの氏や戸籍を同一にしたい場合には,子どもの住所地にある家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可の申立て」を行うことになります。

子どもが15歳以上であれば子ども本人が申立を行うことになりますが,15歳未満の場合は,法定代理人である親権者が申立を行います。

家庭裁判所で子の氏の変更の許可の審判がなされた場合には,家庭裁判所から受け取った子の氏の変更許可の審判書謄本,及び自分の戸籍の戸籍謄本(全部事項証明書)と子の戸籍謄本(全部事項証明書)を添付して,子どもの本籍地か届出人が居住する場所の市区町村役場に「入籍届」を提出します。

入籍届は,子どもが15歳以上であれば子どもが,15歳未満であれば親権者が法定代理人として提出します。

 

年金分割

年金分割とは,離婚した場合において,一定の条件を満たす場合に,一方当事者からの請求により,婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で決めた按分割合(最大で2分の1)で分割することができる制度です。

調停事項に年金分割の条項が定められた場合でも,年金事務所や共済組合で手続きをしなければ,年金分割の効力は生じません。この手続きは,離婚成立の日から2年以内に行う必要があります。

もっとも,元配偶者が死亡した場合には,離婚から2年を経過していない場合であっても,その事実を知っていたか否かにかかわらず,死亡から1ヶ月以内が期限となります。

そのため,年金が問題となりやすい熟年離婚の場合には特に注意して,離婚後速やかに手続きを行うことをお奨めします。

 

⇒年金分割については,こちらの記事も併せてご覧ください。

 

その他の手続き

・健康保険の切り替え(配偶者の健康保険の扶養家族となっていたときに限る)

・年金の被保険者資格の変更(国民年金の3号被保険者であった場合に限る)

・各種公的身分証明書の氏・本籍地の変更

・自動車や不動産の名義変更(氏の変更に伴い,登記・登録の氏名変更をする場合)

・金融機関の口座,クレジットカード,保険,電話等の氏名や住所の変更 等

 

まとめ

離婚調停が成立した段階で肩の荷が下りて一安心されることと思いますが,離婚後なるべく早いうちに必要な手続を最後まで済ませておくことをお勧めします。

 

当事務所では,受任した離婚事件について一貫してサポートさせていただきます。離婚問題に明るい弁護士が在籍しておりますので,岡山地域にお住まいの方で離婚問題についてお悩みの方は,まずは当事務所の弁護士までご相談ください。

 

 

 

 

 

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