慰謝料請求の流れ

不貞慰謝料を請求したいと思っているけれども,その具体的な手続きがよくわからない,あるいはどのようなものかイメージしづらいという方もいらっしゃると思います。

そこで,このページでは,弁護士に依頼することを前提に,不倫・不貞慰謝料を請求する場合の基本的な流れについて,説明させていただきます。

不倫・不貞慰謝料請求の流れ

不倫相手の氏名・住所などの調査

通常,弁護士は,不貞慰謝料請求のご依頼を受けた場合,不貞の相手方に対し,内容証明郵便(場合によっては訴状)を送り,慰謝料の請求を行います。

そのため,不倫・不貞慰謝料を請求するには,相手方への郵便物の送達先,言い換えると,相手方の住所・氏名の情報が必要になります。

もっとも,実際のケースでは,不貞相手の情報が十分でない場合も少なくありません。

しかし,このような場合であっても,例えば,「電話番号は知っているが、名前が分からない」「携帯の電話番号しか分からない」という場合でも,弁護士であれば調べられる可能性があります

これらの情報を調べるには,弁護士会照会制度(弁護士法第23条の2)という制度を利用します。弁護士会照会制度とは,弁護士が受任している事件の証拠や資料を収集し,事実を調査するための制度です。照会を受けた相手は,原則として回答・報告する義務があり,例外として,照会の必要性・相当性が欠けている場合には回答・報告しなくてもよいものとされています。

 

慰謝料金額の確定や付帯条件の確認

慰謝料を算定する際には,不貞行為の期間の長短やその回数,婚姻期間の長短,不貞行為により夫婦関係が破壊された程度の強弱,未成熟の子どもの有無等の事情が考慮されます。

これらに加え,慰謝料の金額を決めるにあたっては,不貞行為の相手方の経済的支払い能力や,依頼者が確保している不貞行為の証拠の内容やその価値(その証拠で不貞行為があったことをどこまで証明できるか)も踏まえておく必要があります。

不貞行為の相手方に十分な支払能力がない場合に,相場よりも高い慰謝料を設定すると,相手方が委縮してしまい,そもそも交渉のテーブルにつくことすら拒否されてしまう可能性があるからです。

また,確保している証拠の内容が十分でない場合には,相手方から事実を否定されたり反論されたりする可能性が高くなるため,慎重な態度で交渉していく必要があります。

訴訟に移行した場合にも耐えうるだけの証拠価値があるかどうかを踏まえた上で,自分たちの実態に沿った現実的な慰謝料金額を設定することが大切です。

当事務所では,これらの注意点を十分にご説明した上で,お客様のご意向も踏まえつつ,慰謝料の金額の提案をさせていただきます。

 

また,裁判外での交渉によって解決する場合には,不貞慰謝料の支払いの他に,示談書に以下のような条件を付すこともでき,これを「付帯条件」といいます。

・配偶者と二度と会わない旨の誓約(接触禁止条項)

・職場不倫などの場合の「秘密の保持」の誓約

・配偶者への求償権行使をしない旨の誓約

・これらの付帯条件に違反した場合のペナルティの内容(違約金の定め)

依頼者との事前の打ち合わせを十分に行うことで,これらの点も含めて,基本方針を立てさせていただきます。

 

内容証明の送達

内容証明郵便には,不貞行為に対し慰謝料請求を行うこと及びその金額,そして,連絡がない場合は,法的手段も考えていることを記載します。

内容証明郵便とは,「誰がいつ,どんな内容を誰宛に出したのか」ということを郵便局が公的に証明してくれる郵便になります。この送達方法によることで,郵便を受け取った相手は「そんな手紙は受け取っていない」「見ていない」「捨ててしまった」などという言い逃れをすることができなくなります。

もっとも,内容証明郵便に基本的には法的効果はありません。そのため,内容証明郵便を受け取ったとしても,それだけで,相手方が記載された慰謝料金額を支払う義務を負うことはありません。

そうであっても,弁護士の名前で内容証明郵便を送付することで,事実上,それを受け取った相手にプレッシャーを与えることができる上,相手方の反応を引き出し,有利な協議に持ち込める可能性が高くなります。

もちろん,内容証明郵便を送らずにいきなり裁判を起こすこともできないわけではありません。しかし,相手方がこちらの主張を大きく争わないのであれば,裁判外で和解をした方が早期かつ柔軟な解決を図れることも多いですし,相手方の出方を確認する必要があります。そのため,まずは,内容証明郵便を送ることが一般的となっています。

 

相手方との交渉、示談書の取り交わし

内容証明郵便の送達を受けて相手方が不貞行為を認め、慰謝料の支払について合意が出来れば,裁判外交渉のみで終了します。その際には,必ず示談書を作成する必要があります。

 

相手方との交渉がまとまらなかった場合

裁判を行う場合

内容証明郵便を送っても連絡がない場合,又は,相手方が不貞行為の事実やその金額を争うなどして,交渉が決裂してしまった場合には,地方裁判所(又は簡易裁判所)に訴訟を提起します。

訴訟の過程においても,相手方が事実関係を認めるなどして合意が成立すれば、和解により終了します。仮に最後まで事実を争うなどして,互譲による解決が見込まれない場合には,裁判所の判決によりどちらの言い分が正しいか判断が示されます。判決の内容に不服がある場合には控訴して,上級の裁判所で再度裁判を受けることも出来ます。

強制執行を行う場合

裁判に勝ったとしても,相手が判決を無視して,支払をしない場合があります。この場合,相手に財産があることがわかっていれば,強制執行手続をとることができます。

また,裁判外で慰謝料請求の交渉が合意に達し,相手方が付帯条件に違反した場合の違約金の定めも含めて公正証書による示談書が作成されていたにもかかわらず,相手方が付帯条件を破った場合には,裁判所に強制執行を申し立てることで,支払いを強制することができます

強制執行については,こちらの記事もご参照下さい。

 

弁護士に依頼するメリット

上で述べたように,慰謝料請求にあたっては,証拠の存在やその価値,さらには相手からの想定される反論等を踏まえながら,最終段階である訴訟を見据えて臨機応変に対応していくことが重要になります。

相手の不貞行為によって心の傷を受けたのですから,可能な限り高額の慰謝料を請求したいという気持ちはもっともなことだと思います。しかし,慰謝料金額の設定は今後の交渉の流れを左右する重要なファクターになりますから,感情に任せず,慎重に検討することが大切です。

また,弁護士に依頼せず,直接当事者間で協議して示談書を作成した場合には,その内容の不備などから,相手が示談書を反故にしたり,あるいは慰謝料の支払いが示談書に記載の通りになされず,法的問題が後々になって生じてしまったりするリスクがあります。

弁護士に依頼することで,法的問題を将来に積み残すことなく問題を解決できることはもちろんのこと,相手方と直接交渉するストレスからも解放されます。

 

不倫や不貞行為といったデリケートな悩みについては,誰にも相談することができず,一人で問題を抱えて悩まれる方が多くいらっしゃいます。

しかし,不倫や不貞行為が発覚した場合には速やかにご相談いただくことで,相手方との示談交渉・和解交渉・訴訟手続を弁護士が一貫して受け持つことができるため,最善の解決策を取りやすくなります。

当事務所は,依頼者との事前の打ち合わせを丁寧に行うことで,依頼者のご希望をしっかりと伺うことを心掛けています。

適正な慰謝料を受け取るためにも,不貞慰謝料請求をお考えの方は,なるべく早い段階で,弁護士にご相談されることをお奨めします。

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